<発表のポイント>
・玉ねぎなどに多く含まれるポリフェノール(ケルセチン)が、毒性物質(アセトアルデヒド)に対する抵抗性を高めることを明らかにし、二日酔いの症状軽減やアルコール性肝疾患の予防に寄与する可能性を見出しました。
・食品成分のもつ機能性/安全性への理解に貢献するだけでなく、本研究で明らかとなった分子機構に基づいた新たな機能性食品・サプリメントの開発が期待されます。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の学術研究院環境生命自然科学学域(農)の中村宜督教授、中村俊之准教授、同学術研究院ヘルスシステム統合科学学域の佐藤あやの准教授らの研究グループは、東アジア人特有のALDH2遺伝子多型依存性アルコール不耐症の肝細胞モデルなどを用いて、玉ねぎなどに多く含まれるポリフェノール(ケルセチン)のアセトアルデヒド毒性に対する保護作用とその分子機構を解明しました。さらに、ケルセチンはアセトアルデヒド代謝酵素とともに、抗酸化物質合成酵素の発現増強作用を介して、細胞をアセトアルデヒド毒性から保護することを明らかにしました。
本研究で明らかとなった食品成分の機能性とその分子機構に関する研究成果は、ポリフェノールの健康増進作用に関して新たな科学的根拠を提供するものであり、食品の機能性や安全性の科学的理解に大きく貢献することが期待されます。さらに、アセトアルデヒド毒性に対する細胞保護作用に基づいた新たな機能性食品・サプリメントの開発につながるものと期待されます。
本研究成果は2本の論文として、2024年7月11日 に日本農芸化学会が発行する国際科学誌「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry」(OUP)オンライン版、8月20日 にスイスのオンライン科学雑誌「International Journal of Molecular Science」(MDPI)に掲載されました。
なお本情報は、2024年9月26日 の岡山大学定例記者会見において公開されました。
◆中村宜督教授からのひとこと
大学院環境生命自然科学研究科地球環境生命科学学位プログラム(農学部農芸化学コース)では、食品成分の健康機能を解明する研究を、食品化学・分析化学・分子細胞生物学などの多彩な手法を用いて行っています。普段、何気なく食べている食品に含まれるさまざまな成分とその可能性に興味のある方はご連絡ください。
◆論文情報
論文①
論文名: Evaluation of quercetin as a potential cytoprotector against acetaldehyde using the cultured hepatocyte model with aldehyde dehydrogenase isozyme deficiency.
邦題名「アルデヒド脱水素酵素アイソザイム欠損培養肝細胞モデルを用いたアセトアルデヒドに対する細胞保護剤としてのケルセチンの評価」
掲載誌: Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
著者: Yuhang Xu†, Takeshi Sawamoto†, Ruitong Sun, Aki Ishikura, Shintaro Munemasa, Yoshiyuki Murata, Ayano Satoh, Akiko Matsumoto, Toshiyuki Nakamura, Yoshimasa Nakamura(† Equally contributed to this work)
DOI: 10.1093/bbb/zbae100
URL: https://doi.org/10.1093/bbb/zbae100
論文②
論文名: Quercetin Attenuates Acetaldehyde-Induced Cytotoxicity via the Heme Oxygenase-1-Dependent Antioxidant Mechanism in Hepatocytes
邦題名「ケルセチンはヘムオキシゲナーゼ-1依存的メカニズムを介して肝細胞におけるアセトアルデヒド誘導細胞毒性を減弱させる」
掲載誌: International Journal of Molecular Science
著者: Kexin Li†, Minori Kidawara†, Qiguang Chen, Shintaro Munemasa, Yoshiyuki Murata, Toshiyuki Nakamura, Yoshimasa Nakamura(† Equally contributed to this work)
DOI: 10.3390/ijms25169038
URL: https://doi.org/10.3390/ijms25169038
◆研究資金
本研究は、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費助成事業」(基盤B・20H02933,研究代表:中村宜督,基盤B・23H02161,研究代表:中村宜督,基盤B・23K26854,研究代表:中村宜督,若手研究A・17H04725,研究代表:中村俊之,基盤C・21K11676,研究代表:中村俊之,基盤C・24K14724, 研究代表:中村俊之)の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
玉ねぎに含まれるポリフェノールの細胞保護作用とその分子機構を解明〜二日酔いの症状軽減やアルコール性疾患の予防効果に期待〜
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20240926-6.pdf
◆参 考
・岡山大学農学部
http://www.okayama-u.ac.jp/user/agr/
・岡山大学大学院環境生命自然科学研究科
https://www.elst.okayama-u.ac.jp/
◆参考情報
・【岡山大学】玉ねぎに含まれるケルセチン配糖体の腸内細菌代謝物の肝細胞保護効果とその分子機構を解明
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000514.000072793.html
・【岡山大学】玄米の健康機能を担う主要成分としてフェルラ酸シクロアルテニルを同定
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001162.000072793.html
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 環境生命科学学域(農)教授 中村宜督
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1丁目1番1号 岡山大学津島キャンパス
TEL:
FAX:
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1279.html
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://venture.okayama-u.ac.jp/
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html
・玉ねぎなどに多く含まれるポリフェノール(ケルセチン)が、毒性物質(アセトアルデヒド)に対する抵抗性を高めることを明らかにし、二日酔いの症状軽減やアルコール性肝疾患の予防に寄与する可能性を見出しました。
・食品成分のもつ機能性/安全性への理解に貢献するだけでなく、本研究で明らかとなった分子機構に基づいた新たな機能性食品・サプリメントの開発が期待されます。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の学術研究院環境生命自然科学学域(農)の中村宜督教授、中村俊之准教授、同学術研究院ヘルスシステム統合科学学域の佐藤あやの准教授らの研究グループは、東アジア人特有のALDH2遺伝子多型依存性アルコール不耐症の肝細胞モデルなどを用いて、玉ねぎなどに多く含まれるポリフェノール(ケルセチン)のアセトアルデヒド毒性に対する保護作用とその分子機構を解明しました。さらに、ケルセチンはアセトアルデヒド代謝酵素とともに、抗酸化物質合成酵素の発現増強作用を介して、細胞をアセトアルデヒド毒性から保護することを明らかにしました。
本研究で明らかとなった食品成分の機能性とその分子機構に関する研究成果は、ポリフェノールの健康増進作用に関して新たな科学的根拠を提供するものであり、食品の機能性や安全性の科学的理解に大きく貢献することが期待されます。さらに、アセトアルデヒド毒性に対する細胞保護作用に基づいた新たな機能性食品・サプリメントの開発につながるものと期待されます。
本研究成果は2本の論文として、2024年7月11日 に日本農芸化学会が発行する国際科学誌「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry」(OUP)オンライン版、8月20日 にスイスのオンライン科学雑誌「International Journal of Molecular Science」(MDPI)に掲載されました。
なお本情報は、2024年9月26日 の岡山大学定例記者会見において公開されました。
◆中村宜督教授からのひとこと
大学院環境生命自然科学研究科地球環境生命科学学位プログラム(農学部農芸化学コース)では、食品成分の健康機能を解明する研究を、食品化学・分析化学・分子細胞生物学などの多彩な手法を用いて行っています。普段、何気なく食べている食品に含まれるさまざまな成分とその可能性に興味のある方はご連絡ください。
◆論文情報
論文①
論文名: Evaluation of quercetin as a potential cytoprotector against acetaldehyde using the cultured hepatocyte model with aldehyde dehydrogenase isozyme deficiency.
邦題名「アルデヒド脱水素酵素アイソザイム欠損培養肝細胞モデルを用いたアセトアルデヒドに対する細胞保護剤としてのケルセチンの評価」
掲載誌: Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
著者: Yuhang Xu†, Takeshi Sawamoto†, Ruitong Sun, Aki Ishikura, Shintaro Munemasa, Yoshiyuki Murata, Ayano Satoh, Akiko Matsumoto, Toshiyuki Nakamura, Yoshimasa Nakamura(† Equally contributed to this work)
DOI: 10.1093/bbb/zbae100
URL: https://doi.org/10.1093/bbb/zbae100
論文②
論文名: Quercetin Attenuates Acetaldehyde-Induced Cytotoxicity via the Heme Oxygenase-1-Dependent Antioxidant Mechanism in Hepatocytes
邦題名「ケルセチンはヘムオキシゲナーゼ-1依存的メカニズムを介して肝細胞におけるアセトアルデヒド誘導細胞毒性を減弱させる」
掲載誌: International Journal of Molecular Science
著者: Kexin Li†, Minori Kidawara†, Qiguang Chen, Shintaro Munemasa, Yoshiyuki Murata, Toshiyuki Nakamura, Yoshimasa Nakamura(† Equally contributed to this work)
DOI: 10.3390/ijms25169038
URL: https://doi.org/10.3390/ijms25169038
◆研究資金
本研究は、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費助成事業」(基盤B・20H02933,研究代表:中村宜督,基盤B・23H02161,研究代表:中村宜督,基盤B・23K26854,研究代表:中村宜督,若手研究A・17H04725,研究代表:中村俊之,基盤C・21K11676,研究代表:中村俊之,基盤C・24K14724, 研究代表:中村俊之)の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
玉ねぎに含まれるポリフェノールの細胞保護作用とその分子機構を解明〜二日酔いの症状軽減やアルコール性疾患の予防効果に期待〜
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20240926-6.pdf
◆参 考
・岡山大学農学部
http://www.okayama-u.ac.jp/user/agr/
・岡山大学大学院環境生命自然科学研究科
https://www.elst.okayama-u.ac.jp/
◆参考情報
・【岡山大学】玉ねぎに含まれるケルセチン配糖体の腸内細菌代謝物の肝細胞保護効果とその分子機構を解明
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000514.000072793.html
・【岡山大学】玄米の健康機能を担う主要成分としてフェルラ酸シクロアルテニルを同定
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001162.000072793.html
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 環境生命科学学域(農)教授 中村宜督
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1丁目1番1号 岡山大学津島キャンパス
TEL:
FAX:
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1279.html
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://venture.okayama-u.ac.jp/
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html