新たなテスト原理により知識習得はコンピュータに任せられる時代が到来
<発表のポイント>
・岡山大学の学部1年生全員対象に新型eラーニング(マイクロステップ・スタディ:MSS)を提供した結果、わずか1日5分程度の英単語学習がGTECのスコアを向上させられることを支持する結果が世界で初めて得られ、日本心理学会発行の学術雑誌「心理学研究」に掲載されました。進級要件を課す効果も得られた他、高校生対象の英検®のスコアにも同様の結果が得られています(同時プレスリリース)。GTECや英検等のスコアを上げられるeラーニングの報告は学術的になく、世界初の成果です。
・言語能力の基盤は長期記憶のうち潜在記憶ですが、これまで日常の学習効果を潜在記憶レベルで連続測定することは不可能でした。岡山大学大学院教育学研究科附属実践データサイエンスセンター寺澤研究室は、全く新しいテスト原理で、一夜漬けの学習効果を排除し、実力の学習効果(潜在記憶)を高精度に測定することを可能にしました。それにより、何千という英単語の一つ一つについて、実力を正確に推定し、完全習得したと判定された英単語を学習から除外(評価の自動化)し学習効率を上げることに成功しました。
・評価の自動化も世界初で、今後教師等がドリルやテストの作成、採点等をする必要がなくなります。
◆概 要
内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期(ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術/学習支援技術、プログラムディレクター:安西祐一郎、管理法人:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構[NEDO])の委託事業(2018-2020)により、岡山大学が教養英語の課外学習支援システムとして導入したeラーニング(MSS)が、総合的な英語力を測るGTECのスコアを上げられることを支持する有意な研究結果(世界初)が主要雑誌(心理学研究)に掲載されました。
特筆できるのは、1日わずか5分程度のMSSがスコアを上げることが科学的に支持された点です。同様の報告は過去になく、それはMSSが効率的な知識習得を可能にしていることを意味しています。
その背景には、①新しいテスト原理による評価の自動化と、言語・知識の基盤とされる②潜在記憶(implicit memory)に関する理論と研究成果の活用があります。その概略は次の通りです。
①新しいテスト原理は、学習者ごとに、膨大な問題(英単語など)を網羅し、その一つ一つについて、テストを何度も繰り返すだけでなく、各問題を「いつ」学習し、どのくらいインターバルを空けてテストするのかを、年間を通じて制御できるようスケジューリングし、さらに、問題ごとに定点観測されるテスト得点の時系列変化から実力を正確に推定する方法です。最高点を超えた問題を自動的に除外する機能(評価の自動化)も実現しました。
②言語能力や知識の基盤とされる潜在記憶の研究に基づき、「覚えようとせず、見流すように短時間で学習するよう」指示され、また同じ英単語の学習は1日あたり6回以上反復しないようスケジューリングされるなど最新の潜在記憶研究の成果を実装しました。
MSSは学習者には自覚できない、微細な学習効果の積み重ねを右図のように学習者ごとに可視化し、フィードバックできます(下図はある大学生の20日間の学習による語彙成績の変化)。
今後、英語能力試験の得点を上げられずに悩んでいる多くの企業人と大学生、そして児童生徒にサービスを拡大していきます。日本がグローバル人材を輩出していくために、知識習得はMSSで効率化し、より高次な能力の育成に資源が投入されることを希望します。
引き続き、地域中核・特色ある研究研究:岡山大学の取組に、そして教育現場の変革を進める寺澤教授らの取り組みにご期待ください。
本情報は、2024年5月23日 に開催された岡山大学定例記者会見において公開されました。
*1 GTEC®は株式会社ベネッセコーポレーションの登録商標です。
*2 英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
◆関連プレスリリース
新しいテスト原理の詳細は別添資料をご参照ください。また、言語能力の基盤とされる潜在記憶の獲得に有効な学習法は、現在一般に推奨されている学習法と大きく異なります。潜在記憶の獲得に効果的な学習法の詳細は、同時プレスリリースの資料をご参照ください。
5分間見流すだけの英単語学習が英検®スコアを向上させる世界初の成果~潜在記憶理論を基盤としたeラーニングの効果検証~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002223.000072793.html
◆事業助成
本研究成果の一部は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の「SIP/ビッグデータ・AI を活用したサイバー空間基盤技術」(管理法人:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)によって得られたものです。
◆詳しい研究内容について
わずか1日5分のeラーニングが総合的英語能力試験(GTEC®)スコアを上げられることを支持する研究成果が主要雑誌に掲載(世界初)新たなテスト原理により知識習得はコンピュータに任せられる時代が到来
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20240523-4.pdf
◆参 考
・岡山大学 学術研究院 教育学域(教育心理学)寺澤孝文研究室
https://edu.okayama-u.ac.jp/~shinri/terasawa/index.html
・マイクロステップ・スタディ ホームページ
https://micro-step.jimdofree.com/
https://www.youtube.com/playlist?list=PLmPbZfZBPSjfTbE4Ray5BeszB8dyJ69YU
・岡山大学大学院教育学研究科附属実践データサイエンスセンター
https://hito.ccsv.okayama-u.ac.jp/
◆参考情報
・大学院教育学研究科の寺澤教授が「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期 ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」に採択
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8250.html
・寺澤教授(教育)が教育ビッグデータによる教育の個別最適化の社会実装活動で文部科学大臣賞を受賞
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8936.html
・文部科学大臣賞を受賞した寺澤教授(教育)が記念講演 「全ての学習者に実質的メリットを提供できる新しいeラーニング」
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id9001.html
・【岡山大学】FOCUS ON(No.27)「記憶のメカニズムとビッグデータによる教育改革」を発行しました
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000112.000072793.html
◆参考動画
◆本件お問い合わせ先
岡山大学学術研究院教育学域(教育心理学)
岡山大学大学院教育学研究科附属実践データサイエンスセンター
教授 寺澤孝文
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3-1-1 岡山大学津島キャンパス
TEL: (担当:田邊/山際)
https://edu.okayama-u.ac.jp/~shinri/terasawa/index.html
実践データサイエンスセンター教育・心理支援サービス部門
https://hito.ccsv.okayama-u.ac.jp/
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html
<発表のポイント>
・岡山大学の学部1年生全員対象に新型eラーニング(マイクロステップ・スタディ:MSS)を提供した結果、わずか1日5分程度の英単語学習がGTECのスコアを向上させられることを支持する結果が世界で初めて得られ、日本心理学会発行の学術雑誌「心理学研究」に掲載されました。進級要件を課す効果も得られた他、高校生対象の英検®のスコアにも同様の結果が得られています(同時プレスリリース)。GTECや英検等のスコアを上げられるeラーニングの報告は学術的になく、世界初の成果です。
・言語能力の基盤は長期記憶のうち潜在記憶ですが、これまで日常の学習効果を潜在記憶レベルで連続測定することは不可能でした。岡山大学大学院教育学研究科附属実践データサイエンスセンター寺澤研究室は、全く新しいテスト原理で、一夜漬けの学習効果を排除し、実力の学習効果(潜在記憶)を高精度に測定することを可能にしました。それにより、何千という英単語の一つ一つについて、実力を正確に推定し、完全習得したと判定された英単語を学習から除外(評価の自動化)し学習効率を上げることに成功しました。
・評価の自動化も世界初で、今後教師等がドリルやテストの作成、採点等をする必要がなくなります。
◆概 要
内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期(ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術/学習支援技術、プログラムディレクター:安西祐一郎、管理法人:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構[NEDO])の委託事業(2018-2020)により、岡山大学が教養英語の課外学習支援システムとして導入したeラーニング(MSS)が、総合的な英語力を測るGTECのスコアを上げられることを支持する有意な研究結果(世界初)が主要雑誌(心理学研究)に掲載されました。
特筆できるのは、1日わずか5分程度のMSSがスコアを上げることが科学的に支持された点です。同様の報告は過去になく、それはMSSが効率的な知識習得を可能にしていることを意味しています。
その背景には、①新しいテスト原理による評価の自動化と、言語・知識の基盤とされる②潜在記憶(implicit memory)に関する理論と研究成果の活用があります。その概略は次の通りです。
①新しいテスト原理は、学習者ごとに、膨大な問題(英単語など)を網羅し、その一つ一つについて、テストを何度も繰り返すだけでなく、各問題を「いつ」学習し、どのくらいインターバルを空けてテストするのかを、年間を通じて制御できるようスケジューリングし、さらに、問題ごとに定点観測されるテスト得点の時系列変化から実力を正確に推定する方法です。最高点を超えた問題を自動的に除外する機能(評価の自動化)も実現しました。
②言語能力や知識の基盤とされる潜在記憶の研究に基づき、「覚えようとせず、見流すように短時間で学習するよう」指示され、また同じ英単語の学習は1日あたり6回以上反復しないようスケジューリングされるなど最新の潜在記憶研究の成果を実装しました。
MSSは学習者には自覚できない、微細な学習効果の積み重ねを右図のように学習者ごとに可視化し、フィードバックできます(下図はある大学生の20日間の学習による語彙成績の変化)。
今後、英語能力試験の得点を上げられずに悩んでいる多くの企業人と大学生、そして児童生徒にサービスを拡大していきます。日本がグローバル人材を輩出していくために、知識習得はMSSで効率化し、より高次な能力の育成に資源が投入されることを希望します。
引き続き、地域中核・特色ある研究研究:岡山大学の取組に、そして教育現場の変革を進める寺澤教授らの取り組みにご期待ください。
本情報は、2024年5月23日 に開催された岡山大学定例記者会見において公開されました。
*1 GTEC®は株式会社ベネッセコーポレーションの登録商標です。
*2 英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
◆関連プレスリリース
新しいテスト原理の詳細は別添資料をご参照ください。また、言語能力の基盤とされる潜在記憶の獲得に有効な学習法は、現在一般に推奨されている学習法と大きく異なります。潜在記憶の獲得に効果的な学習法の詳細は、同時プレスリリースの資料をご参照ください。
5分間見流すだけの英単語学習が英検®スコアを向上させる世界初の成果~潜在記憶理論を基盤としたeラーニングの効果検証~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002223.000072793.html
◆事業助成
本研究成果の一部は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の「SIP/ビッグデータ・AI を活用したサイバー空間基盤技術」(管理法人:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)によって得られたものです。
◆詳しい研究内容について
わずか1日5分のeラーニングが総合的英語能力試験(GTEC®)スコアを上げられることを支持する研究成果が主要雑誌に掲載(世界初)新たなテスト原理により知識習得はコンピュータに任せられる時代が到来
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20240523-4.pdf
◆参 考
・岡山大学 学術研究院 教育学域(教育心理学)寺澤孝文研究室
https://edu.okayama-u.ac.jp/~shinri/terasawa/index.html
・マイクロステップ・スタディ ホームページ
https://micro-step.jimdofree.com/
https://www.youtube.com/playlist?list=PLmPbZfZBPSjfTbE4Ray5BeszB8dyJ69YU
・岡山大学大学院教育学研究科附属実践データサイエンスセンター
https://hito.ccsv.okayama-u.ac.jp/
◆参考情報
・大学院教育学研究科の寺澤教授が「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期 ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」に採択
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8250.html
・寺澤教授(教育)が教育ビッグデータによる教育の個別最適化の社会実装活動で文部科学大臣賞を受賞
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8936.html
・文部科学大臣賞を受賞した寺澤教授(教育)が記念講演 「全ての学習者に実質的メリットを提供できる新しいeラーニング」
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id9001.html
・【岡山大学】FOCUS ON(No.27)「記憶のメカニズムとビッグデータによる教育改革」を発行しました
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000112.000072793.html
◆参考動画
◆本件お問い合わせ先
岡山大学学術研究院教育学域(教育心理学)
岡山大学大学院教育学研究科附属実践データサイエンスセンター
教授 寺澤孝文
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3-1-1 岡山大学津島キャンパス
TEL: (担当:田邊/山際)
https://edu.okayama-u.ac.jp/~shinri/terasawa/index.html
実践データサイエンスセンター教育・心理支援サービス部門
https://hito.ccsv.okayama-u.ac.jp/
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html