本山修験宗総本山 聖護院門跡 (所在地:京都市左京区聖護院中町15)は、2023年10月7日(土)  から12月3日(日)  まで、秋の特別公開を開催いたします。
 毎年開催しております狩野派の金碧障壁画約100余面が配されている宸殿(通常非公開)の公開と併せて、今回は天皇御即位記念事業として進めておりました「書院(重要文化財)」も修復後初公開いたします。またこの書院を建てたといわれる後水尾天皇にちなみ、当院の宝物の中からゆかりのある巻子やお軸を公開。さらに修復記念として特別朱印を公開期間中に授与いたします。


〇聖護院について
 役行者を宗祖とする本山修験宗の総本山。寛治4年(1090)、白河上皇の熊野御幸で護持僧を務めた増誉大僧正に、「聖体護持」から2字をとった聖護院を与えられたことに始まります。宮門跡として明治まで代々皇族や摂関家が門主(住職)を務め、天明の大火により御所が火災に遭った際は、光格天皇の仮皇居となったことから「旧仮皇居」として日本で唯一の史跡に登録された格式高い寺院です。本山修験宗の総本山として、法要の際は全国から多くの山伏が集まり、大規模な護摩修行が厳修されます。

〇修復後初公開の書院について
 この書院は後水尾天皇ご側室の御殿と伝わり建物そのものが重要文化財として指定されています。延宝4年(1676)に聖護院が現在の地へ移転してきた時に御所より移築されました。障壁画が残る二室には、当時としては非常に高価であったガラスを花頭窓に使用するなど贅がつくされています。違い棚周辺には豪華でありながらも緻密な金細工がされていることや、釘隠しに彫金細工の結び文や泥七宝の笹竜胆、細い柱を使った華奢な建物の造りなど女性好みの志向が凝らされており、この書院を女院へ送った後水尾天皇の心配りをご覧いただけます。
 しかし長年の風雪もさることながら、平成30年9月の台風21号により境内は大きな被害を蒙り、特に門跡筋塀はじめ御所より下賜されて約300年を経た書院の被害は甚大でした。当院は歴史を後世に伝えるべく「書院」・「筋塀」の修理修復を天皇御即位記念事業として発願し、この度無事に完成いたしました。
 今回の特別公開では、この書院の内部をご覧いただくとともに、修復作業の工程や修復の際に確認されました仮皇居としての変遷をパネルで展示いたします。


〇修復記念特別朱印について
 この特別朱印は、書院修復後初公開の記念としてご用意いたしました。
美しくよみがえった書院の外観や違い棚の透かし彫りなどの意匠を、朱色の布に手捺染(てなせん)と呼ばれる伝統的な技法を用い、京都の職人が手作業で金色に染め上げました。「森御殿」の文字は聖護院御門主 宮城泰年猊下の揮毫を配しています。
 明治までは聖護院の南側に聖護院村があり、鴨川にかけてうっそうとした「聖護院の森」が広がっていました。この森の紅葉は錦の織物のように美しいため「錦林」と呼ばれ今も地名として残っております。また、その美しい森の中にある御殿であることから、聖護院は別名「森御殿」とも呼ばれており、この特別朱印に記しました。
 今でも周辺地域では聖護院のことを「御殿」と呼び、当時の名残をとどめます。
<書院修復記念特別朱印/授与期間:令和5年10月7日(土)  ~無くなり次第終了/志納料 :¥1,500>

〇公開内容について
 宸殿には狩野山雪の子、狩野永納と、狩野探幽の養子、狩野益信による金碧障壁画100余面が納められており、緑青や朱を使った迫力溢れるものから、墨を主として描いた落ち着きのあるものまで、幅広く描かれています。大玄関から上段の間まで続く金碧障壁画には花鳥や中国の賢人、故事に由来する数々の物語や雄大な自然が描かれています。仮皇居にもなった格式高い寺院を証明する、宮門跡ならではの貴重な文化財を公開。
 また今回修復されました書院を女院へ送ったと伝わる後水尾天皇にちなみ、当院の宝物の中から後水尾天皇御宸筆のお軸『「忍(にん)」の一字』などを特別に展示、さらに後水尾天皇の第十三皇子であり聖護院宮門跡となられた道寛法親王(1647年-1676年)の肖像画軸を初公開いたします。


<秋の特別公開 詳細>
・期 間 / 令和5年10月7日(土)  ~12月3日(日)  
・休止日 / 10月12日  ~15日、11月28日  ・29日
 (※法務により拝観休止日が増える場合があります)
・時 間 / 10:00~16:00受付終了
・内 容 / 大玄関、宸殿、狩野永納・狩野益信筆 金碧障壁画約100余面、本堂、本尊 不動明王像(重要文化財)、書院(重要文化財)
・参拝料 / 大人800円 中高校生・大学生600円 小学生以下無料(保護者同伴)
 ※団体15名以上は700円(旅行会社様 団体料金でのクーポン適用不可)
 ※10名以上の団体様は事前予約をお願い致します。
 (予約先/京都春秋 FAX
・所在地 / 本山修験宗総本山 聖護院門跡 〒606-8324 京都市左京区聖護院中町15
 (京都市バス:熊野神社前下車約5分)

※来院に関する注意事項等はホームページをご覧ください。