11月29日(日) 、沼袋Section9を舞台に「神凪アリス act.3~Nocturnal Symphony~」がYoutube無料Live配信として行われた。この日は、事前抽選で当選した40名も生でライブを観覧。有観客/配信ライブという今最もあるべき形で、その場に生まれたドラマを伝えていった。
先に、「神凪アリス」についてお伝えしよう。「シンフォニックメタルプロジェクト「神凪アリス act.3」には、ヴォーカルの神凪さんを筆頭に、ギターのFanaさん、ドラムに元ガールズロックバンド革命のJUNNAさん、ギターにMarry`s BloodサポートのYASHIROさん、ベースに今年解散表明をした絶対倶楽部の一ノ瀬さん、ヴァイオリンにSection9オーナーの琴羽しらすさんを招聘。嬢メタル界隈で「今話題の」女性プレイヤーを集めて舞台を構築するシンフォニックメタルプロジェクトです。「~Nocturnal Symphony~」と銘打った本公演には、月夜の交響曲に楽曲と演出を施し、リアルライブと配信ライブそれぞれに楽しめる趣向を凝らしました」(主催者提供の資料を転載)。とてもわかりやすい説明だったので、引用させていただいた。ここからは、当日のライブの模様をお伝えしたい。
暗くなった場内へ厳かに流れだしたのが、幕間曲「第一幕:カノッサの屈辱」、荘厳な音色の上で、聖書を手にした歌姫の神凪が、これから音楽で綴る物語の背景(or粗筋)を語りだす。
語り部となった神凪の言葉が終わるのを合図に、JUNNAのドラム音が雷鳴のように轟いた。その音へ刺激を受けるように、演奏陣が感情を剥きだした激しい音を一斉に響かせる。身体を覆い尽くす凄まじい音の唸りが、その場にいた人たちの全身を一気に呑み込んでゆく。飛びだしたのが、メロディアス/シンフォニックメタルな「Saint Genesis」だ。神凪の感情的な歌声を支えるどころか、彼女の歌声と闘いを挑むように演奏陣が凄まじい音をぶつけだす。威圧的な音さえも呑み込みながら、神凪は「主は来ませり」と、高らかに歌声を響かせていた。それは、神に捧げる祈りにも似た歌声だった。攻撃的な音を背にした神凪の姿は、敵に向かって雄々しく声を上げて攻める闘いの女神のよう。集団で銃を撃ち放つように、凄まじい破壊力を持った演奏陣の音が身体中を貫き続ける。その上で妖艶な旋律を奏でる琴羽しらすのヴァイオリン。楽曲は激しさそのままに巧みに転調を繰り返しながら、勇壮な物語を描き続けてゆく。終盤に生まれた胸をくすぐる美しいギターの旋律が、魂を奮わせた。冒頭から神凪アリスは、勇ましい演奏による楽曲を通し、この空間を、狂気を孕んだ異世界へと一気に染め上げていった。
「第二幕:ヨハネによる福音書第3章16節」の音色に乗せ、神凪は呪詛のように言葉を繰り返す。物語は、「Sanctus Ignis」と題した新たな舞台へ…。
ドラムのカウントを合図に、歪みを上げた凄まじいギターの音が全身を貫きだす。その刺激へ触発されたように叫ぶ神凪。彼女は、荒れ狂う音の渦の中、美しい声と野獣のようなグロウルを巧みに使い分けながら新たな物語を語りだした。サビでは、心惹きつける印象的な歌を届ける神凪。彼女の気持ちの揺れを、ヴァイオリンの調べが美しくも勇壮な旋律で後押せば、その背景では、身体を揺らし闘いを挑むように音を突きつける演奏陣が、ノイズにも思えるカオスな音を撒き散らしていた。ときに凄まじいグロウルを示し、感情のストッパーを外す神凪。この曲での演奏陣は、徹底して破壊的な音を笑顔で叩きつけていた。フロア中を覆い尽くす黒い轟音の中、ときに聖なる美しい歌声も響かせながら、神凪は神へ想い捧げる物語を塗り重ねてゆく。この闘い、とんでもなく凄まじい!!
「第三幕:薔薇は神の授けたる名、我々の名は名も無き薔薇」に乗せ神凪は、美しき薔薇に隠された物語を語りだす。楽曲は、狂気を花開かせるように「The Name Of The Rose」へ。
勇壮な音を響かせるギターのリフに絡みつく荘厳でシンフォニックな音色。「美しさの中には狂気が潜む」と人は言うが、彼女たちに関しては、「美しさは狂気が折り重なって生まれるもの」と言ったほうが正しいだろう。美しさと荒ぶる感情が交錯した演奏陣の作り出す重厚な音の上で、神凪が刹那を抱いた美しい歌声を響かせ、触れた人たちの心に情熱を注ぎ込んでいった。神凪自身は嘆きと悲劇を抱いた想いを届けてゆくのだが、彼女の歌声を演奏陣は容赦なく攻めたてる。終盤に生まれた美しくも高貴な音の風景。あらん限りの想いをぶつけ、みずからの魂を奮わせながら咲き誇ろうとする神凪アリスたちの姿の、なんて凛々しかったことか。
物語は最終楽章の「第四幕:ピアノ独奏:咎」へ。手にした聖書に目を通しながら、「ひざまずきなさい」と赦しを乞うように語る神凪。
最後に神凪アリスは、天に祈りを捧げるように。身を焦がす想いのまま、「うたた寂しくロンドを」を奏でだした。狂気を孕んだ演奏と神凪の祈りにも似た歌声が交錯しながら、美しいシンフォニックなドラマを描きだす。沸き立つ感情へ触発されながら、あらん限りの声を振り絞るように歌い叫ぶ神凪。その祈りにも、願いにも似た切な歌声を、ときにメロディアスな旋律も奏でながら、演奏陣は容赦なく轟音に乗せてゆく。ここは、感情と感情をぶつけあう音楽の戦場だ。互いが互いを煽情しながら、この物語を、高貴で恍惚を抱くドラマへと昇華していく。ステージの中央で、喉を枯らしながらも、心揺さぶる美しい歌声を届け続ける神凪。終始身体も気持ちも前のめりに、感情的な音の爪で、触れた人たちの魂を引っかき続けた演奏陣。まさに怒濤という言葉が似合う、スリリングな音楽の闘いを繰り広げながら観客たちの感情を侵略し、嬉しくひれ伏せたライブだった。
止まない拍手を受け、予定外のアンコールとして、神凪アリスはふたたび「Saint Genesis」を演奏。狂気を孕んだ凄まじい音がふたたび会場中を覆い尽くす。胸を騒がせるギターの旋律と感情高ぶらすヴァイオリンの音色が重なる演奏に乗せ、ふたたび観客たちへ挑む姿勢で神凪が感情的な歌声をぶつけだした。神凪の声に触れるたび、心が激しく騒ぎだす。彼女の声は、すでにかすれ気味だ。それでも喉を掻きむしる勢いで神凪は歌声を響かせていた。彼女の背景では、凄まじい音を突きつけながらも、ベースの一ノ瀬とギターのYASHIROが寄り添い演奏していた。一瞬のブレイクの後に歌った神凪の「主は来ませり」の歌声のなんと神々しかったことか。たとえ喉が潰れようと、それでも高ぶる気持ちをぶつけながら、彼女は高らかに声を、言葉を、祈りを捧げていた。身体中を駆け巡る熱い血となった音へ触発されるように、演奏陣も身体を揺さぶり、唸る音を全身から放っていた。終盤に生まれたメロディアスなセッション演奏の、なんて美しかったことか。最後まで熱い轟音響かせるステージングを描きあげ、神凪アリスのライブは幕を閉じていった。
次、神凪アリスが舞台に舞い戻るのは何時になるのだろうか。今は、そのときを心待ちにしていようか。
TEXT:長澤智典
★インフォメーション★
「Nocturnal Symphony」試聴動画
神凪アリスact.3記念リリース音源「Nocturnal Symphony」
神凪アリス act.3 ワンマン公演の記念リリース音源。
フルオーケストラ、クワイアーとメタルサウンドを融合した渾身のシンフォニックメタル。
購入はこちら
通常盤
https://kannagialice.official.ec/items/36253112
信者盤
https://kannagialice.official.ec/items/36253108
―セッリトスト―
「第一幕:カノッサの屈辱」
「Saint Genesis」
「第二幕:ヨハネによる福音書第3章16節」
「Sanctus Ignis」
「第三幕:薔薇は神の授けたる名、我々の名は名も無き薔薇」
「The Name Of The Rose」
「第四幕:ピアノ独奏:咎」
「うたた寂しくロンドを」
-ENCORE-
「Saint Genesis」
神凪アリス Twitter:@Alice_GMBS
vo.神凪:@sig_ba
gt.YASHIRO:@yashiro_guitar
gt.Fana:@fanael1127
vn.琴羽しらす:@syllasukotoha
ba.一ノ瀬:@ICHINOSE_CRASH
dr.JUNNA:@jujuju_dr
先に、「神凪アリス」についてお伝えしよう。「シンフォニックメタルプロジェクト「神凪アリス act.3」には、ヴォーカルの神凪さんを筆頭に、ギターのFanaさん、ドラムに元ガールズロックバンド革命のJUNNAさん、ギターにMarry`s BloodサポートのYASHIROさん、ベースに今年解散表明をした絶対倶楽部の一ノ瀬さん、ヴァイオリンにSection9オーナーの琴羽しらすさんを招聘。嬢メタル界隈で「今話題の」女性プレイヤーを集めて舞台を構築するシンフォニックメタルプロジェクトです。「~Nocturnal Symphony~」と銘打った本公演には、月夜の交響曲に楽曲と演出を施し、リアルライブと配信ライブそれぞれに楽しめる趣向を凝らしました」(主催者提供の資料を転載)。とてもわかりやすい説明だったので、引用させていただいた。ここからは、当日のライブの模様をお伝えしたい。
暗くなった場内へ厳かに流れだしたのが、幕間曲「第一幕:カノッサの屈辱」、荘厳な音色の上で、聖書を手にした歌姫の神凪が、これから音楽で綴る物語の背景(or粗筋)を語りだす。
語り部となった神凪の言葉が終わるのを合図に、JUNNAのドラム音が雷鳴のように轟いた。その音へ刺激を受けるように、演奏陣が感情を剥きだした激しい音を一斉に響かせる。身体を覆い尽くす凄まじい音の唸りが、その場にいた人たちの全身を一気に呑み込んでゆく。飛びだしたのが、メロディアス/シンフォニックメタルな「Saint Genesis」だ。神凪の感情的な歌声を支えるどころか、彼女の歌声と闘いを挑むように演奏陣が凄まじい音をぶつけだす。威圧的な音さえも呑み込みながら、神凪は「主は来ませり」と、高らかに歌声を響かせていた。それは、神に捧げる祈りにも似た歌声だった。攻撃的な音を背にした神凪の姿は、敵に向かって雄々しく声を上げて攻める闘いの女神のよう。集団で銃を撃ち放つように、凄まじい破壊力を持った演奏陣の音が身体中を貫き続ける。その上で妖艶な旋律を奏でる琴羽しらすのヴァイオリン。楽曲は激しさそのままに巧みに転調を繰り返しながら、勇壮な物語を描き続けてゆく。終盤に生まれた胸をくすぐる美しいギターの旋律が、魂を奮わせた。冒頭から神凪アリスは、勇ましい演奏による楽曲を通し、この空間を、狂気を孕んだ異世界へと一気に染め上げていった。
「第二幕:ヨハネによる福音書第3章16節」の音色に乗せ、神凪は呪詛のように言葉を繰り返す。物語は、「Sanctus Ignis」と題した新たな舞台へ…。
ドラムのカウントを合図に、歪みを上げた凄まじいギターの音が全身を貫きだす。その刺激へ触発されたように叫ぶ神凪。彼女は、荒れ狂う音の渦の中、美しい声と野獣のようなグロウルを巧みに使い分けながら新たな物語を語りだした。サビでは、心惹きつける印象的な歌を届ける神凪。彼女の気持ちの揺れを、ヴァイオリンの調べが美しくも勇壮な旋律で後押せば、その背景では、身体を揺らし闘いを挑むように音を突きつける演奏陣が、ノイズにも思えるカオスな音を撒き散らしていた。ときに凄まじいグロウルを示し、感情のストッパーを外す神凪。この曲での演奏陣は、徹底して破壊的な音を笑顔で叩きつけていた。フロア中を覆い尽くす黒い轟音の中、ときに聖なる美しい歌声も響かせながら、神凪は神へ想い捧げる物語を塗り重ねてゆく。この闘い、とんでもなく凄まじい!!
「第三幕:薔薇は神の授けたる名、我々の名は名も無き薔薇」に乗せ神凪は、美しき薔薇に隠された物語を語りだす。楽曲は、狂気を花開かせるように「The Name Of The Rose」へ。
勇壮な音を響かせるギターのリフに絡みつく荘厳でシンフォニックな音色。「美しさの中には狂気が潜む」と人は言うが、彼女たちに関しては、「美しさは狂気が折り重なって生まれるもの」と言ったほうが正しいだろう。美しさと荒ぶる感情が交錯した演奏陣の作り出す重厚な音の上で、神凪が刹那を抱いた美しい歌声を響かせ、触れた人たちの心に情熱を注ぎ込んでいった。神凪自身は嘆きと悲劇を抱いた想いを届けてゆくのだが、彼女の歌声を演奏陣は容赦なく攻めたてる。終盤に生まれた美しくも高貴な音の風景。あらん限りの想いをぶつけ、みずからの魂を奮わせながら咲き誇ろうとする神凪アリスたちの姿の、なんて凛々しかったことか。
物語は最終楽章の「第四幕:ピアノ独奏:咎」へ。手にした聖書に目を通しながら、「ひざまずきなさい」と赦しを乞うように語る神凪。
最後に神凪アリスは、天に祈りを捧げるように。身を焦がす想いのまま、「うたた寂しくロンドを」を奏でだした。狂気を孕んだ演奏と神凪の祈りにも似た歌声が交錯しながら、美しいシンフォニックなドラマを描きだす。沸き立つ感情へ触発されながら、あらん限りの声を振り絞るように歌い叫ぶ神凪。その祈りにも、願いにも似た切な歌声を、ときにメロディアスな旋律も奏でながら、演奏陣は容赦なく轟音に乗せてゆく。ここは、感情と感情をぶつけあう音楽の戦場だ。互いが互いを煽情しながら、この物語を、高貴で恍惚を抱くドラマへと昇華していく。ステージの中央で、喉を枯らしながらも、心揺さぶる美しい歌声を届け続ける神凪。終始身体も気持ちも前のめりに、感情的な音の爪で、触れた人たちの魂を引っかき続けた演奏陣。まさに怒濤という言葉が似合う、スリリングな音楽の闘いを繰り広げながら観客たちの感情を侵略し、嬉しくひれ伏せたライブだった。
止まない拍手を受け、予定外のアンコールとして、神凪アリスはふたたび「Saint Genesis」を演奏。狂気を孕んだ凄まじい音がふたたび会場中を覆い尽くす。胸を騒がせるギターの旋律と感情高ぶらすヴァイオリンの音色が重なる演奏に乗せ、ふたたび観客たちへ挑む姿勢で神凪が感情的な歌声をぶつけだした。神凪の声に触れるたび、心が激しく騒ぎだす。彼女の声は、すでにかすれ気味だ。それでも喉を掻きむしる勢いで神凪は歌声を響かせていた。彼女の背景では、凄まじい音を突きつけながらも、ベースの一ノ瀬とギターのYASHIROが寄り添い演奏していた。一瞬のブレイクの後に歌った神凪の「主は来ませり」の歌声のなんと神々しかったことか。たとえ喉が潰れようと、それでも高ぶる気持ちをぶつけながら、彼女は高らかに声を、言葉を、祈りを捧げていた。身体中を駆け巡る熱い血となった音へ触発されるように、演奏陣も身体を揺さぶり、唸る音を全身から放っていた。終盤に生まれたメロディアスなセッション演奏の、なんて美しかったことか。最後まで熱い轟音響かせるステージングを描きあげ、神凪アリスのライブは幕を閉じていった。
次、神凪アリスが舞台に舞い戻るのは何時になるのだろうか。今は、そのときを心待ちにしていようか。
TEXT:長澤智典
★インフォメーション★
「Nocturnal Symphony」試聴動画
神凪アリスact.3記念リリース音源「Nocturnal Symphony」
神凪アリス act.3 ワンマン公演の記念リリース音源。
フルオーケストラ、クワイアーとメタルサウンドを融合した渾身のシンフォニックメタル。
購入はこちら
通常盤
https://kannagialice.official.ec/items/36253112
信者盤
https://kannagialice.official.ec/items/36253108
―セッリトスト―
「第一幕:カノッサの屈辱」
「Saint Genesis」
「第二幕:ヨハネによる福音書第3章16節」
「Sanctus Ignis」
「第三幕:薔薇は神の授けたる名、我々の名は名も無き薔薇」
「The Name Of The Rose」
「第四幕:ピアノ独奏:咎」
「うたた寂しくロンドを」
-ENCORE-
「Saint Genesis」
神凪アリス Twitter:@Alice_GMBS
vo.神凪:@sig_ba
gt.YASHIRO:@yashiro_guitar
gt.Fana:@fanael1127
vn.琴羽しらす:@syllasukotoha
ba.一ノ瀬:@ICHINOSE_CRASH
dr.JUNNA:@jujuju_dr