10TBのデータ・カートリッジ1巻に、映画・番組の撮影データを丸ごと収録可能に。最大360MB / 秒の高速データ転送で、バックアップ作業時間を半分以下に短縮



ITインフラのソリューション・ディストリビューターである株式会社ネットワールド(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 森田 晶一)は、東映株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長 多田憲之)のグループ会社である東映ラボ・テック株式会社(本社:東京都調布市、代表取締役社長 中山正久)の子会社(東映デジタルラボ株式会社)にて、撮影データをバックアップ / アーカイブする新システムの構築で、IBMエンタープライズ・テープ・ドライブ「IBM TS1150」と「Cisco Unified Computing System(以下UCS)C220 M3」を導入し、本格稼働開始したことを発表します。

業務用4Kビデオカメラの普及で、映画やテレビ番組の撮影データの大容量化が加速し、従来のLTO (Linear Tape-Open)データ・カートリッジでは、5時間分のデータをバックアップするのに丸1日が費やされていましたが、新しいシステムでは、データ転送レートが最大360MB / 秒に高速化したことで、バックアップ作業時間が従来の半分以下に短縮されました。
また、「IBM TS1150」では、大容量テープメディア「IBM3592 JDデータ・カートリッジ」を使用して、1カートリッジ当たりの容量は従来のLTOと比べて4倍以上の10TBとなり、4Kで撮影した映画や番組のデータを丸ごと収録して顧客に納品することも可能となります。

ネットワールドは、国内で唯一、IBMとシスコシステムズのVAD(Value Added Distributor)に認定されています。今回の導入前には、ネットワールドの検証施設「GARAGE(ガレージ)」において、導入するシステムと同じ「Cisco UCS C220 M3」ラックサーバに2台の「IBM TS1150」テープ・ドライブをファイバー・チャネル接続した構成で、さまざまな運用パターンでのパフォーマンス検証を実施しました。期待通りの性能を出せることを事前に確認できたことが導入決定を後押しし、両社の技術や製品に精通している強みが技術支援や導入支援に生かされました。


◆ 導入背景と導入前検証
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東映デジタルラボは、東映株式会社(本社:東京都中央区)のグループ会社である東映ラボ・テック株式会社(本社:東京都調布市)の子会社として2010年に設立され、東京撮影所(東京都練馬区)内にある東映デジタルセンターにおいて、オープン撮影素材のデータ管理やポストプロセッシングサービスなどのデジタル業務を担っています。

東映デジタルラボは、映像制作会社の撮影データを一次的に編集仕上げ用の専用サーバに取り込んで処理し、LTO-5 / LTO-6データ・カートリッジにバックアップ/アーカイブを行っていましたが、昨今、4K解像度での撮影が増加したことで、TB(テラバイト)級の大容量撮影データが日々持ち込まれるようになり、容量、スピードの点でLTOデータ・カートリッジでのバックアップ/アーカイブが限界となり、改善が求められていました。
例えば、一部の業務用の4Kビデオカメラは毎秒240MBの速度でデータを生成するため、延べ5時間分の撮影では4TBを超えます。一方、LTO-6のデータ・カートリッジは1巻あたりの容量はわずか2. 5TBで、さらに、バックアップには1TBあたり1時間以上を要します。

そこで、LTO-6データ・カートリッジと比べて4倍に相当する10TBの大容量、最大360MB/秒のデータ転送レートを実現する、IBMエンタープライズ・テープ・ドライブ「IBM TS1150」と「IBM3592 JDデータ・カートリッジ」の採用を検討。IBMが、IBM東京ラボラトリー内に実証環境を用意し、カタログスペック通りの360MB/秒のパフォーマンスが常時発揮されることを確認しました。さらに、ネットワールドは、自社の検証施設「GARAGE」に、導入予定の「UCS C220 M3」ラックサーバに2台の「IBM TS1150」テープ・ドライブをファイバー・チャネル接続した構成で、さまざまな運用パターンでのパフォーマンス検証を実施し、期待通りの性能を出せることを事前に確認しました。


◆ 導入成果と今後の展開
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新しいシステムでは、従来のLTO-6では160MB/秒だったデータ転送レートが、2倍以上の360MB/秒に高速化されたことで、バックアップ時間は従来の半分以下に短縮されました。
また、「IBM TS1150」のファイルシステムであるLTFS(Linear Tape File System)のオペレーションも非常に簡単で、GUI 画面からドラッグ&ドロップ操作でコピーを行うことができることから、煩雑だったバックアップ作業の負荷が大幅に軽減され、社内スタッフは本来の業務である編集仕上げサービスや新たなアプリケーション開発に、より多くの時間を割くことができるようになりました。

本来はフイルムやビデオテープと同様に、生素材である撮影データは、顧客側で保管・管理するのが業界の慣例であることから、東映デジタルラボでは、編集作業が完了した後のバックアップデータをデータテープで納品するという新しいサービスの構想があります。
1巻あたり10TBの容量のある「IBM3592 JDデータ・カートリッジ」であれば、4K映像データでも10時間分以上を記録できるので、通常の映画やテレビ番組であれば、撮影データを丸ごと1巻に収めてバックアップ可能となり、東映デジタルラボでも、顧客側でも、管理が非常にシンプルになります。
現時点では、テレビ番組制作会社の一部の顧客に先行的にサービスを提供しつつ、そのサービスのメリットを検証しながら、新しいビジネスモデルの確立を模索している段階にあり、また、顧客側に「IBM TS1150」テープ・ドライブが普及するまでは、東映デジタルラボのシステムのバックアップテープからデータを読み出し可能にするサービスとして提供する計画です。東映デジタルラボは、同サービスの公開に向けて、「いつ撮影した、どの素材が、どのデータ・カートリッジに記録したか」をすぐに検索できるコンテンツ/メディア管理のシステムを提供しています。