ITインフラのソリューション・ディストリビューターである株式会社ネットワールド(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 森田 晶一)は、株式会社北日本放送(所在地:富山県富山市、代表取締役社長 横山 哲夫)が、VDI(仮想デスクトップ基盤)環境の性能改善のために、ネットワールドが扱う米PernixData(パーニックスデータ)社のストレージ高速化プラットフォームの最新版「PernixData FVP」を導入したことを発表します。
北日本放送は、Windows 7へのリプレースを機に、運用管理工数を大幅削減とワークスタイル変革を目的として2011年からVDI環境構築に着手し、現在では約180台の仮想デスクトップが稼働していますが、環境が大規模化するにつれて、業務システムの応答が遅い、日本語入力システムがうまく動作しないなど、レスポンス低下が問題となっていました。
「PernixData FVP」は、VMwareのハイパーバイザー内にカーネルモジュールとしてインストールし、サーバに搭載された高速なメディアをキャッシュ化して既存ストレージのI/O性能、レスポンスタイムを飛躍的に高めるソフトウェアです。今回のプロジェクトでは、サーバに24~70GBのメモリを追加しただけで、ストレージを置き換えることなく、以前の環境と比較してレイテンシは約100倍、スループットはピーク時では50倍以上も改善しました。
従来は、PhotoShopやIllustratorなど負荷の高いアプリケーションは物理PCで動作させていましたが、今回の性能改善により、これらのアプリケーションも問題なく稼働させることが可能となりました。
導入から約2ヵ月半で9.3TB分のトラフィックを削減、また最新版の「PernixData FVP 2.5」に搭載された調整型メモリ圧縮機能「DFTM-Z」を活用することで、192GBのキャッシュ領域内に220GB以上のキャッシュデータを保持しており、この値は今なお増加し続けています。また、FVPの調整型ネットワーク圧縮機能(adoptive network compression)によって、冗長化のためのホスト間ネットワークの帯域も320GB削減されています。さらに、「PernixData FVP」の管理ツールは、VDI環境の稼働状況を可視化できることから、今後のインフラの改善に役立てる計画です。
北日本放送は、社内でシステムの構築・運用を行っており、ネットワールドは、北日本放送のストレージ基盤やVDI環境の構築から支援を続けていますが、今回の性能改善においても、充実したサービス・サポート体制が高く評価されました。
◆ 導入の背景
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北日本放送は、富山県を中心にテレビ/ラジオ放送事業を展開する地方放送局で、昨年末には、災害・難聴対策としてAMラジオ内容をFMでも同時放送する「FM補完中継局」を開局するなど、地域の生活・文化・産業を支える重要なメディアとしての役割を果たしています。同社は先進ICTの導入にも積極的に取り組み、2009年からVMwareによるサーバ仮想化基盤を導入。2011年には、Windows 7へのリプレースを機に、運用管理工数の大幅削減とワークスタイル変革を目的としてVDI(仮想デスクトップ基盤)環境構築に着手しました。事務部門向け端末40台を皮切りにスタートしたVDIプロジェクトは順調に規模を拡大し、現在では約180台の仮想デスクトップが稼働しています。基幹業務システムや番組編成業務用システム、制作部門の情報共有基盤などの重要業務にも活用されていますが、環境が大規模化するにつれて次第にレスポンス低下が問題となってきました。
そこで、ログオンストームを避けるために退社時も仮想デスクトップをシャットダウンしない、また、ウイルスチェックの手法を見直すなどの対策を講じていました。
しかしながら、ストレージの性能改善を図る必要があり、また、性能問題を抜本的に解消可能なソリューションとして、既存環境に大きく手を加えることなくVMware環境におけるI/O性能向上を可能にするハイパーバイザーソフトウェア「PernixData FVP」の導入に至りました。
◆ 導入の経緯と成果
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北日本放送では、「PernixData FVP」の効果を確かめるために、まず数台の仮想デスクトップを対象に適用を開始。実際に高速化が体感できたかどうか、該当端末を利用するユーザに感触を確かめました。その結果、以前は、業務システムの応答が遅い、日本語入力システムがうまく動作しないなどの問題がありましたが、「PernixData FVP」の導入後は快適に業務が行えることが実証されたことから、全社展開に向けて適用台数を順次増やしていきました。
「PernixData FVP」は、VMware基盤を構成する複数の物理サーバ上に搭載されたメモリ/フラッシュデバイスをクラスター化して、キャッシュとして利用しますが、今回は既設のサーバの構成上、フラッシュデバイスを増設することが難しかったため、メモリを利用して高速化を図る「DFTM」(Distributed Fault Tolerant Memory:分散冗長性メモリ)機能を採用しました。5台のVDI用物理サーバには、それぞれ24~70GBのメモリを追加しただけで、既存のストレージシステムをそのまま利用しながら、導入後に実施した調査では、直近の2週間で8.87億回のリードと4.51億回のライトを「PernixData FVP」のキャッシュ上で処理。導入後の3ヶ月の総計で20TBのSANネットワーク帯域を削減しています。これにより、以前の環境と比較して仮想マシンのI/Oのレイテンシは約100倍、スループットはピーク時で50倍以上も改善しました。
さらに、「PernixData FVP」の調整型ネットワーク圧縮機能も利用されており、導入以降2.4TB分のホスト間ネットワークトラフィック削減にも成功、最新の「PernixData FVP 2.5」に搭載された調整型メモリ圧縮機能「DFTM-Z」で、圧縮を有効にして1週間で、192GBのキャッシュ領域内に220GB以上のキャッシュを保持しており、この値は今なお増え続けています。今後、同機能を活用してさらなる高速化を図れるものと見込んでいます。
また、以前の環境では、負荷の重いPhotoShopやIllustratorなどのデザイン系アプリケーションは物理PCで動作させていましたが、「PernixData FVP」による性能改善により、これらのアプリケーションも問題なく稼働できるようになり、今後、VDIの対象領域をさらに拡げることで、いっそうの運用管理負担軽減が可能になるものと期待しています。
さらに、「PernixData FVP」の管理ツールで稼働状況をチェックしたところ、ある時間帯に急激に負荷が高まる仮想デスクトップがあることが発見されて調査が始まり、毎日同じ時間に巨大なEXCELマクロを走らせて帳票作成を作成していたことがわかりました。北日本放送では、このような情報を活用して、今後のインフラの改善に役立てたい考えです。