プレスリリース
2014年4月吉日
報道機関各位
現行の柔道整復師療養費受領委任払制度の見直し・改革を目指す“患者と柔整師の会” 柔道整復施術ガイドライン作成にあたって第2回全体会議 2月16日(日)柔道整復師センターで開催 「慢性痛や慢性疾患」「鑑別診断方法」などの意見交わす
現行の柔道整復師療養費受領委任払制度の見直し・改革を目指す患者と柔整師の会(患者代表:今城康夫、柔整師代表:荻原啓二)は、2月16日、東京都中野区の柔道整復師センターにおいて「柔道整復施術ガイドライン作成にあたって第2回全体会議」を開催しました。
■柔整師業界団体、保険者、マスコミなど33名参加
会議には全国の柔整師業界団体、保険者、マスコミ関係者など33名が参加し、1月19日 に開催された第1回全体会議同様、フリートーキング形式で活発な議論が展開されました。この日は「慢性痛・慢性疾患」と「鑑別診断方法」を中心議題に議論しました。柔整師業界の中で共通の理解を深めるために、今後更に全体会議を重ねて、6月を目途にガイドラインを完成する予定です。
荒井俊雅座長(社団JB日本接骨師会常任理事)は、第1回全体会議について「発生機転における急性、亜急性外傷の定義」、「期間としての急性、亜急性、慢性の定義」に関する議論を行ったと、次のように報告しました。
■柔整師としての豊富な現場体験から積極的な意見表明が相次ぐ
①亜急性外傷の文言は厚生労働省の「柔道整復師の施術に係る算定基準」に載っているにも関わらず、柔整師同士及び保険者との共通の理解がないことがわかった。新しい概念として養成学校の教科書に載ってはいるが、資格取得後年月が経過しているベテラン柔整師及び保険者には十分には周知されていないのが現状である。
②急性、亜急性、慢性の期間の捉え方は、患者の状態にあわせて表現するのがよい、との意見があった。部位により急性期、亜急性期、慢性期と期間が決められている医療の考え方は、診療保険点数の問題も絡んできて、柔整業界では若干表現が変わるかもしれない。
その上で荒井座長は『このガイドライン作成は、全ての柔整師が養成学校で統一した教育を受けた急性外傷の、いわゆる「5負傷=骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷」に関するものではない。それ以外の亜急性外傷、急性期経過外傷もしくは軟部組織損傷に関するものである』「この会議開催目的は、柔整師は国家資格があるにも関わらず、最低限、国民に担保された基準のある治療法が統一されていない。業界での共通理解のもと、ガイドライン作成について皆様の意見を聞くことである」と説明しました。
■慢性痛の考え方として厚生労働省公表「今後の慢性の痛み対策について(提言)/慢性の痛みに関する検討会」が参考になる
『慢性痛の考え方の一つとして、厚生労働省がHPで公表している「今後の慢性の痛み対策について※」の中で「慢性の痛みに関する検討会からの提言」が参考になる。その中で「慢性の痛み」には、癌とか精神的なストレスによるものが含まれており、あとはほとんどが病気である、としている』「我々柔整師が日常、遭遇している変形性関節症、四肢における慢性の痛みも載っているが、余り具体的ではない。「余り再現性のない痛み」を主に慢性的な痛みとして取り扱っている』と報告、議論の口火を切り、3時間以上の長時間にわたる全体会議が始まりました。
※厚生労働省は平成22年9月13日 、「今後の慢性の痛み対策について/慢性の痛みに関する検討会からの提言』を公表した。慢性の痛みに関する現状、慢性の痛みの医療を取り巻く課題、今後、必要とされる対策(医療体制の構築、教育、普及・啓発、情報提供、相談体制、調査・研究)などに言及している。「痛みは主観的な体験の表現のため客観的な評価が困難」「標準的な評価法や診断法が未確立、診療体制も不十分」「慢性の痛みは患者の生活の質を著しく低下させ、就労困難を招くなど社会的損失が大きい」などと現状分析している。ガイドラインの作成が提言されている。第2回全体会議でも本多最高顧問はじめ複数の柔整師がこの提言に触れている。
■主な発言概要は以下の通りです。
「柔整師が遭遇している事例の中で、慢性的といわれるものは数多くある。代表的なのは五十肩のような、よくグレーといわれている部分。五十肩自体が200年前ぐらいから関係論文が発表されているが、まだ原因は不明」(柔整師A)
「再現性がないという発言があったが、慢性について、柔整師や医療従事者、保険者、患者の間で概念・捉え方にズレがあると感じる。慢性とはいつから始まったか。誰が慢性と決めているか。慢性の定義、捉え方を聞きたい」(荒井座長)
「今後の慢性の痛み対策について(提言)」では痛みの定義は「組織と組織の
実質的、潜在的に結びつく、そこからの痛み、不快な感覚や情動体験」「前記の提言では、痛みの定義は組織と組織の実質的、潜在的に結びつく、そこからの痛み、不快な感覚や情動体験となっている。慢性の痛みは急性疾患の通常の経過あるいは損傷の治癒に要する相当な時間を越えて持続する痛みとなっている」「期間ははっきり定められないが、基本的には普通なら治っていないとおかしい相当な時間を超えている、なおかつ持続しているものと定義されている。ただ、1カ月以上続く痛みもそのようなものとして取り扱われているので、一概に期間だけで決められるものではない」(柔整師B)
■人口構造(老齢化社会)、疾病構造や生活様式の変化で、慢性疾患への対策の重要性が高まっている。
本多最高顧問は、議論の深化を求めました。
「厚生労働省は前記提言の中で、近年の我が国における健康づくり取り組みについては、人口構造(老齢化社会)、疾病構造、生活様式などの変化により、慢性疾患への対策の重要性が高まっているとの認識を示しており、これはその通りで我々の議論の対象となるところである」「慢性の痛みを来す疾患は、変形性脊椎症や腰痛症といった筋骨格系と結合組織の疾患から、神経痛やリウマチのような内科的疾患、さらには複合性局所疼痛症候群の原因不明のものまで、多種多様であると指摘しており、柔整師が遭遇するのは前半です」「原因や病態が十分に解明されていない。機能的要因が主な原因となって引き起こされている。この痛みは患者の生活の質を落とす原因になっていると提言では指摘している。柔整師の徒手整復がどういう役割を果たすべきか、ガイドライン設計で参考にしたいので議論を深めてほしい」
■なぜ鑑別するか。鑑別の目的は何か。目的を議論しないと議論は深まらない。
本多最高顧問はさらに「なぜ鑑別するか。鑑別の目的は何か。こういう目的があるために鑑別を我々はやると、目的をもう少し皆さんと議論しないと、はっきり議論が深まらない」と、出席者に鑑別の目的を問いかけました。
「慰安行為と治療行為をどのようにして分けたらいいかということで、そこの鑑別診断をどの様にすればいいか。慢性でも医療の対象として適用できるということと、それを分けないと保険者も納得しない」(荒井座長)
■肝臓癌は完治したという患者の言葉を信じギックリ腰の治療を始めたが・・・
「問診で手術をして肝臓癌はもう完治しましたという患者さんの言葉を信じて、ギックリ腰の治療を始めた。最初はよかったが、だんだん悪くなる。病院に送り検査をしてもらったところ、骨転移が判明したケースがあった。柔整師は問題を抱え込んではだめです。鑑別をしっかりしないと適切な治療ができない。鑑別は必要です」(柔整師E)
■鑑別診断、最初の診断で最も肝心なのは何が患者にとってベストか。
「問題を抱える、抱えないよりも、早く治すためには自分がやるべきか、やるべきではないかを考えれば、病的なものにしろ、慰安のものにしろ、本来は外されていくと思う」(柔整師F)
■治療の客観性を担保するためにも急性外傷でない疾病に対して、ある程度のルール化が必要。
「急性期、急性の外傷の場合はそれなりに病態が明確でわかりやすい。しかし急性外傷でない疾病に対しては、ある程度のルール化をしていかないと治療の客観性が担保できないと経験的に感じている。そのために今日の全体会議は、急性外傷でないものは大きな枠組みの中でやっている。その中で社団JB日本接骨師会が示しているのは、変形性のものと、繰り返して行う作業によって起こるもの、これをもとに絞りながら治療のガイドラインをつくり上げてみようということになっている」(本多最高顧問)
「整形外科へ行くと変形性膝関節症とか、変形しているからと患者さんが言われて、原因もそのように決められることがあります。そういう患者さんも当然接骨院へ来ますが、治療してよくなることもある。一体その変形が治ったのか、それとも別のところに原因があったのか。その辺、鑑別診断はどうですか」(荒井座長)
「一応診断上、椎間板ヘルニアがあったとしても、全員が痛みを訴えるわけではない。痛みがやがて消失して日常問題ない人もたくさんいる。変形性関節症の人が全て痛いわけではない。原因というよりも、その状態が変形であったりヘルニアであったり、器質的なことがあって、その結果、痛んだり痛まないときがあるので、最近は整形外科も含めてそういう認識にある」(柔整師M)
■慢性と急性の大きな違いは治療方法が違うこと。原因不明で痛くなった人に
対しては疼痛箇所だけでなく全体的に診る。治療方法を特定する目的。
「急性と慢性の患者さんが来た場合、足首を昨日捻挫した、それは急性とはっきりわかります。何だかわからないけど膝が痛くなった、足首が痛くなったという患者さんも結構います。そういう方を診るときの治療方法として、ただ昨日捻挫したという人だったら、もちろん足首だけをやります。電気かけたり、包帯で固定したり、テーピングしたりします。しかし、原因不明で痛くなった人は、腰からのバランスを考えたり、左右のバランスをみたり、こっちの足が悪かったから痛くなったかなど全体的に診ます。慢性と急性の大きな違いは、治療方法が違うことと思います」(柔整師K)
「慢性、急性というよりも、我々が適応できるのは痛み、障害、損傷で、適応できないのは病気が多い。病的なもので関節等に痛みを呈する疾病は35疾患以下しかありませんので、それは確実に鑑別できるようにしていかないといけない。もう一つ、明らかに違うのは、再現性がないものがほとんど多いということ」(柔整師H)
■徒手検査で痛みを再現させて確認できるもの、これでまず線引きをする。
再現性を確認する観察方法は徒手検査
「我々が診ているのは、それがいつから始まろうが、我々のところに訴えてきた時点で再現性がある。いわゆる徒手検査等でその痛みを再現させて確認することができるもの。これでまず線引きをする。普通はこうしたらこういうふうに痛いとか、我々ができるものというのは、治療して治していけるわけですから、どういう状況でそうなっているということも大体想像もつくし、それをもとに検査もしています。しかし、これをやっても痛くない、あれやっても痛くないのに、この人はいつになったら痛いとか、朝起きたら痛いとか、全く再現性がない場合イレギュラーなのでそこを大事に診ないといけない。骨折であれ脱臼であれ、病的脱臼、病的骨折は扱ってはいけない。我々もそれを抱えたら大変なことで、患者のためにも我々のためにも、はっきり鑑別しないといけない。」(柔整師k)
本多最高顧問からの「再現性を確認する観察方法」についての問いかけに対して、「痛みを訴えている部分について、運動を加えた圧痛、動かすことによって痛みを再現させる徒手検査です。それで再現できないものは、我々も判断できません。我々は徒手検査による再現性を一番重要に思っている」との意見表明が柔整師からありました。
本多最高顧問は「観察方法としては、変形性があって痛みが出るのではなくて、変形性が何らかの内部組織、関節などに炎症か何か与えていて、炎症があるものについて、それがどの程度か、あるいは本当にそうなのかを手技を加えて再現してその痛みの部位、性質を特定していくと理解する」と話しました。
■鑑別の目的は医療事故防止・治療方法特定・治療と慰安行為の区別の3点
その上で本多最高顧問はこれまでの議論から、鑑別の目的を整理しました。
①医療過誤や医療事故が起きないために、あるいは転院を的確に行うため。(患者保護)
②治療方法・施術の方法について特定するため。(慢性的な痛みと急激に来る痛みでは治療の方法が違う)
③慰安行為的な治療をしないため。(この痛みは一体どういう痛みなのかを特定する)
【患者と柔整師の会のプロフィール】
超高齢化時代の到来を目前に控え、多くの患者は柔道整復診療で痛み、機能障害などから解放されたいと切に希望しています。複数の重大問題が包含される現行の柔道整復師療養費受領委任払制度を抜本的に見直すことを目的に、平成22年2月、全国の柔道整復師と患者の有志が中心となり設立されました。現在、会員数は約7,200人に達しました。以来約4年間、保険者、柔整師、患者の意見を数多く聴取して、改革案を3回にわたり作成、関係者に説明の努力を重ねました。平成25年6月6日 総括会議を開催しこれまでの議論、審議を通じて作成した改善方策案を発表しました。同8月30日 、「登録柔道整復師制度及び柔整療養審査・支払機構」について保険者向け説明会を開催、6月発表の「制度運用改善方策案」に加えて、「急性期経過外傷(類似負傷)用施術内容情報提供書」など3案を提案しました。同時に「柔道整復施術ガイドライン」を作成することになり、1月19日 に第1回、2月16日 に第2回全体会議を開催しました。
■設立 平成22年2月
■事務局 〒108-0074 東京都港区高輪2-16-49 カムロ高輪ビル2F
■TEL&FAX
■URL http://k-jsoudan.org/
■E-mail
■会員数 約7,200人
■代表 患者代表 今城康夫/ 柔整師代表 荻原啓二
【社団JB日本接骨師会のプロフィール】
■本部:〒164-0013 東京都中野区弥生町1-13-7
■会長:五十嵐 仁
■設立:昭和57年2月11日
■TEL:
■ FAX:
■ URL:http://www.pb-jb.org/
■ E-mail:
内容、取材に関するお問い合わせは下記までお願いします。
社団JB日本接骨師会 担当:澤田・前田
〒164-0013 東京都中野区弥生町1-13-7
TEL 03(5388)7211 FAX 03(5388)7231
E-mail :
2014年4月吉日
報道機関各位
現行の柔道整復師療養費受領委任払制度の見直し・改革を目指す“患者と柔整師の会” 柔道整復施術ガイドライン作成にあたって第2回全体会議 2月16日(日)柔道整復師センターで開催 「慢性痛や慢性疾患」「鑑別診断方法」などの意見交わす
現行の柔道整復師療養費受領委任払制度の見直し・改革を目指す患者と柔整師の会(患者代表:今城康夫、柔整師代表:荻原啓二)は、2月16日、東京都中野区の柔道整復師センターにおいて「柔道整復施術ガイドライン作成にあたって第2回全体会議」を開催しました。
■柔整師業界団体、保険者、マスコミなど33名参加
会議には全国の柔整師業界団体、保険者、マスコミ関係者など33名が参加し、1月19日 に開催された第1回全体会議同様、フリートーキング形式で活発な議論が展開されました。この日は「慢性痛・慢性疾患」と「鑑別診断方法」を中心議題に議論しました。柔整師業界の中で共通の理解を深めるために、今後更に全体会議を重ねて、6月を目途にガイドラインを完成する予定です。
荒井俊雅座長(社団JB日本接骨師会常任理事)は、第1回全体会議について「発生機転における急性、亜急性外傷の定義」、「期間としての急性、亜急性、慢性の定義」に関する議論を行ったと、次のように報告しました。
■柔整師としての豊富な現場体験から積極的な意見表明が相次ぐ
①亜急性外傷の文言は厚生労働省の「柔道整復師の施術に係る算定基準」に載っているにも関わらず、柔整師同士及び保険者との共通の理解がないことがわかった。新しい概念として養成学校の教科書に載ってはいるが、資格取得後年月が経過しているベテラン柔整師及び保険者には十分には周知されていないのが現状である。
②急性、亜急性、慢性の期間の捉え方は、患者の状態にあわせて表現するのがよい、との意見があった。部位により急性期、亜急性期、慢性期と期間が決められている医療の考え方は、診療保険点数の問題も絡んできて、柔整業界では若干表現が変わるかもしれない。
その上で荒井座長は『このガイドライン作成は、全ての柔整師が養成学校で統一した教育を受けた急性外傷の、いわゆる「5負傷=骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷」に関するものではない。それ以外の亜急性外傷、急性期経過外傷もしくは軟部組織損傷に関するものである』「この会議開催目的は、柔整師は国家資格があるにも関わらず、最低限、国民に担保された基準のある治療法が統一されていない。業界での共通理解のもと、ガイドライン作成について皆様の意見を聞くことである」と説明しました。
■慢性痛の考え方として厚生労働省公表「今後の慢性の痛み対策について(提言)/慢性の痛みに関する検討会」が参考になる
『慢性痛の考え方の一つとして、厚生労働省がHPで公表している「今後の慢性の痛み対策について※」の中で「慢性の痛みに関する検討会からの提言」が参考になる。その中で「慢性の痛み」には、癌とか精神的なストレスによるものが含まれており、あとはほとんどが病気である、としている』「我々柔整師が日常、遭遇している変形性関節症、四肢における慢性の痛みも載っているが、余り具体的ではない。「余り再現性のない痛み」を主に慢性的な痛みとして取り扱っている』と報告、議論の口火を切り、3時間以上の長時間にわたる全体会議が始まりました。
※厚生労働省は平成22年9月13日 、「今後の慢性の痛み対策について/慢性の痛みに関する検討会からの提言』を公表した。慢性の痛みに関する現状、慢性の痛みの医療を取り巻く課題、今後、必要とされる対策(医療体制の構築、教育、普及・啓発、情報提供、相談体制、調査・研究)などに言及している。「痛みは主観的な体験の表現のため客観的な評価が困難」「標準的な評価法や診断法が未確立、診療体制も不十分」「慢性の痛みは患者の生活の質を著しく低下させ、就労困難を招くなど社会的損失が大きい」などと現状分析している。ガイドラインの作成が提言されている。第2回全体会議でも本多最高顧問はじめ複数の柔整師がこの提言に触れている。
■主な発言概要は以下の通りです。
「柔整師が遭遇している事例の中で、慢性的といわれるものは数多くある。代表的なのは五十肩のような、よくグレーといわれている部分。五十肩自体が200年前ぐらいから関係論文が発表されているが、まだ原因は不明」(柔整師A)
「再現性がないという発言があったが、慢性について、柔整師や医療従事者、保険者、患者の間で概念・捉え方にズレがあると感じる。慢性とはいつから始まったか。誰が慢性と決めているか。慢性の定義、捉え方を聞きたい」(荒井座長)
「今後の慢性の痛み対策について(提言)」では痛みの定義は「組織と組織の
実質的、潜在的に結びつく、そこからの痛み、不快な感覚や情動体験」「前記の提言では、痛みの定義は組織と組織の実質的、潜在的に結びつく、そこからの痛み、不快な感覚や情動体験となっている。慢性の痛みは急性疾患の通常の経過あるいは損傷の治癒に要する相当な時間を越えて持続する痛みとなっている」「期間ははっきり定められないが、基本的には普通なら治っていないとおかしい相当な時間を超えている、なおかつ持続しているものと定義されている。ただ、1カ月以上続く痛みもそのようなものとして取り扱われているので、一概に期間だけで決められるものではない」(柔整師B)
■人口構造(老齢化社会)、疾病構造や生活様式の変化で、慢性疾患への対策の重要性が高まっている。
本多最高顧問は、議論の深化を求めました。
「厚生労働省は前記提言の中で、近年の我が国における健康づくり取り組みについては、人口構造(老齢化社会)、疾病構造、生活様式などの変化により、慢性疾患への対策の重要性が高まっているとの認識を示しており、これはその通りで我々の議論の対象となるところである」「慢性の痛みを来す疾患は、変形性脊椎症や腰痛症といった筋骨格系と結合組織の疾患から、神経痛やリウマチのような内科的疾患、さらには複合性局所疼痛症候群の原因不明のものまで、多種多様であると指摘しており、柔整師が遭遇するのは前半です」「原因や病態が十分に解明されていない。機能的要因が主な原因となって引き起こされている。この痛みは患者の生活の質を落とす原因になっていると提言では指摘している。柔整師の徒手整復がどういう役割を果たすべきか、ガイドライン設計で参考にしたいので議論を深めてほしい」
■なぜ鑑別するか。鑑別の目的は何か。目的を議論しないと議論は深まらない。
本多最高顧問はさらに「なぜ鑑別するか。鑑別の目的は何か。こういう目的があるために鑑別を我々はやると、目的をもう少し皆さんと議論しないと、はっきり議論が深まらない」と、出席者に鑑別の目的を問いかけました。
「慰安行為と治療行為をどのようにして分けたらいいかということで、そこの鑑別診断をどの様にすればいいか。慢性でも医療の対象として適用できるということと、それを分けないと保険者も納得しない」(荒井座長)
■肝臓癌は完治したという患者の言葉を信じギックリ腰の治療を始めたが・・・
「問診で手術をして肝臓癌はもう完治しましたという患者さんの言葉を信じて、ギックリ腰の治療を始めた。最初はよかったが、だんだん悪くなる。病院に送り検査をしてもらったところ、骨転移が判明したケースがあった。柔整師は問題を抱え込んではだめです。鑑別をしっかりしないと適切な治療ができない。鑑別は必要です」(柔整師E)
■鑑別診断、最初の診断で最も肝心なのは何が患者にとってベストか。
「問題を抱える、抱えないよりも、早く治すためには自分がやるべきか、やるべきではないかを考えれば、病的なものにしろ、慰安のものにしろ、本来は外されていくと思う」(柔整師F)
■治療の客観性を担保するためにも急性外傷でない疾病に対して、ある程度のルール化が必要。
「急性期、急性の外傷の場合はそれなりに病態が明確でわかりやすい。しかし急性外傷でない疾病に対しては、ある程度のルール化をしていかないと治療の客観性が担保できないと経験的に感じている。そのために今日の全体会議は、急性外傷でないものは大きな枠組みの中でやっている。その中で社団JB日本接骨師会が示しているのは、変形性のものと、繰り返して行う作業によって起こるもの、これをもとに絞りながら治療のガイドラインをつくり上げてみようということになっている」(本多最高顧問)
「整形外科へ行くと変形性膝関節症とか、変形しているからと患者さんが言われて、原因もそのように決められることがあります。そういう患者さんも当然接骨院へ来ますが、治療してよくなることもある。一体その変形が治ったのか、それとも別のところに原因があったのか。その辺、鑑別診断はどうですか」(荒井座長)
「一応診断上、椎間板ヘルニアがあったとしても、全員が痛みを訴えるわけではない。痛みがやがて消失して日常問題ない人もたくさんいる。変形性関節症の人が全て痛いわけではない。原因というよりも、その状態が変形であったりヘルニアであったり、器質的なことがあって、その結果、痛んだり痛まないときがあるので、最近は整形外科も含めてそういう認識にある」(柔整師M)
■慢性と急性の大きな違いは治療方法が違うこと。原因不明で痛くなった人に
対しては疼痛箇所だけでなく全体的に診る。治療方法を特定する目的。
「急性と慢性の患者さんが来た場合、足首を昨日捻挫した、それは急性とはっきりわかります。何だかわからないけど膝が痛くなった、足首が痛くなったという患者さんも結構います。そういう方を診るときの治療方法として、ただ昨日捻挫したという人だったら、もちろん足首だけをやります。電気かけたり、包帯で固定したり、テーピングしたりします。しかし、原因不明で痛くなった人は、腰からのバランスを考えたり、左右のバランスをみたり、こっちの足が悪かったから痛くなったかなど全体的に診ます。慢性と急性の大きな違いは、治療方法が違うことと思います」(柔整師K)
「慢性、急性というよりも、我々が適応できるのは痛み、障害、損傷で、適応できないのは病気が多い。病的なもので関節等に痛みを呈する疾病は35疾患以下しかありませんので、それは確実に鑑別できるようにしていかないといけない。もう一つ、明らかに違うのは、再現性がないものがほとんど多いということ」(柔整師H)
■徒手検査で痛みを再現させて確認できるもの、これでまず線引きをする。
再現性を確認する観察方法は徒手検査
「我々が診ているのは、それがいつから始まろうが、我々のところに訴えてきた時点で再現性がある。いわゆる徒手検査等でその痛みを再現させて確認することができるもの。これでまず線引きをする。普通はこうしたらこういうふうに痛いとか、我々ができるものというのは、治療して治していけるわけですから、どういう状況でそうなっているということも大体想像もつくし、それをもとに検査もしています。しかし、これをやっても痛くない、あれやっても痛くないのに、この人はいつになったら痛いとか、朝起きたら痛いとか、全く再現性がない場合イレギュラーなのでそこを大事に診ないといけない。骨折であれ脱臼であれ、病的脱臼、病的骨折は扱ってはいけない。我々もそれを抱えたら大変なことで、患者のためにも我々のためにも、はっきり鑑別しないといけない。」(柔整師k)
本多最高顧問からの「再現性を確認する観察方法」についての問いかけに対して、「痛みを訴えている部分について、運動を加えた圧痛、動かすことによって痛みを再現させる徒手検査です。それで再現できないものは、我々も判断できません。我々は徒手検査による再現性を一番重要に思っている」との意見表明が柔整師からありました。
本多最高顧問は「観察方法としては、変形性があって痛みが出るのではなくて、変形性が何らかの内部組織、関節などに炎症か何か与えていて、炎症があるものについて、それがどの程度か、あるいは本当にそうなのかを手技を加えて再現してその痛みの部位、性質を特定していくと理解する」と話しました。
■鑑別の目的は医療事故防止・治療方法特定・治療と慰安行為の区別の3点
その上で本多最高顧問はこれまでの議論から、鑑別の目的を整理しました。
①医療過誤や医療事故が起きないために、あるいは転院を的確に行うため。(患者保護)
②治療方法・施術の方法について特定するため。(慢性的な痛みと急激に来る痛みでは治療の方法が違う)
③慰安行為的な治療をしないため。(この痛みは一体どういう痛みなのかを特定する)
【患者と柔整師の会のプロフィール】
超高齢化時代の到来を目前に控え、多くの患者は柔道整復診療で痛み、機能障害などから解放されたいと切に希望しています。複数の重大問題が包含される現行の柔道整復師療養費受領委任払制度を抜本的に見直すことを目的に、平成22年2月、全国の柔道整復師と患者の有志が中心となり設立されました。現在、会員数は約7,200人に達しました。以来約4年間、保険者、柔整師、患者の意見を数多く聴取して、改革案を3回にわたり作成、関係者に説明の努力を重ねました。平成25年6月6日 総括会議を開催しこれまでの議論、審議を通じて作成した改善方策案を発表しました。同8月30日 、「登録柔道整復師制度及び柔整療養審査・支払機構」について保険者向け説明会を開催、6月発表の「制度運用改善方策案」に加えて、「急性期経過外傷(類似負傷)用施術内容情報提供書」など3案を提案しました。同時に「柔道整復施術ガイドライン」を作成することになり、1月19日 に第1回、2月16日 に第2回全体会議を開催しました。
■設立 平成22年2月
■事務局 〒108-0074 東京都港区高輪2-16-49 カムロ高輪ビル2F
■TEL&FAX
■URL http://k-jsoudan.org/
■会員数 約7,200人
■代表 患者代表 今城康夫/ 柔整師代表 荻原啓二
【社団JB日本接骨師会のプロフィール】
■本部:〒164-0013 東京都中野区弥生町1-13-7
■会長:五十嵐 仁
■設立:昭和57年2月11日
■TEL:
■ FAX:
■ URL:http://www.pb-jb.org/
■ E-mail:
内容、取材に関するお問い合わせは下記までお願いします。
社団JB日本接骨師会 担当:澤田・前田
〒164-0013 東京都中野区弥生町1-13-7
TEL 03(5388)7211 FAX 03(5388)7231
E-mail :