プレスリリース
報道機関各位
2011年3月  24日
荻田泰永北極点事務局東京連絡所

■食料・燃料などの再補給なし、物資90kgを積み込んだソリを自力で曳き続ける■
北極冒険家の荻田泰永(33歳、北海道上川郡在住)は現地時間3月15日  (日本時間3月16日  )、物資調達・訓練など準備を進めていた、北極探検の航空基地として知られるカナダのレゾリュートを出発、最終目標のジョアヘブンに向かいました。
カナダ北極圏の海氷上を1000Kmにわたり、90kgの食料・燃料・キャンプ道具などの荷物を積み込んだソリを自力で曳き続ける徒歩踏破に挑戦します。
零下40度Cにも下がる酷寒の海氷上を、途中で食料・燃料などの補給を一切受けず、ソリを曳いて歩き続けます。
■129人全員行方不明の英フランクリン探検隊が辿ったルートと同じルートを歩く■
今回の徒歩ルートは19世紀半ば、極地探検史上最大のなぞとされる、129人全隊員が行方を絶った英国フランクリン探検隊が辿ったとされるルートと同じです。同探検隊の足跡を追跡調査しているノンフィクションライターで探検家の角幡唯介(35歳、東京都豊島区在住)が同行、荻田と同様ソリによる自力歩行踏破に挑戦、同探検隊の足跡を辿ります。
■海氷状態の不良、予想以上のホッキョクグマの出現で出発を遅らせる■
二人は去る2月22日  、日本を出発、カナダに入り、エドモントン、イカルイット、レゾリュートで食料・燃料・テントなど必要物資調達、寒さに慣れる訓練など準備をしていました。現地からの報告によると、海氷凍結状態の不良、予想以上のホッキョククマの出現などにより開始を予定より遅らせていましたが、いよいよ現地時間3月15日  (日本時間3月16日  )、滞在中
のレゾリュートからジョアヘブンに向けて、1000kmに及ぶ徒歩踏破を開始しました。当初予定では、フランクリン隊3名の隊員の墓が現在も残っているとされるビーチェイ島に行くことになっていましたが、海が凍らず海氷状態が悪いため中止しました。
■悪化する一方の地球環境破壊/熊本大学、山形大学と協力、調査活動を行う■
荻田は2000年の大学生時代、冒険家・大場満郎氏が企画した「北磁極冒険ウォーク」に参加、現在に至るまで合計10回の北極行を経験した数少ない北極専門探検家の1人です。
最終目標は地球のてっぺん、北緯90度の「北極点」へたった一人で荷物を引いて、誰の力も借りず、途中で物資の再補給を受けることもなく到達することです。
2012年、荻田はこの大偉業に挑戦します。今回の徒歩行はその前段の訓練、調査、経験などのために実施します。
荻田は10年間の北極踏査を通じ、地球温暖化による海氷溶解現象など環境汚染の実態を目の当たりに見つめてきました。荻田からの連絡では、今回は前回よりも海氷状態が悪く、地球環境破壊が予想以上のスピードで進行しているとのことです。
■英国フランクリン探検隊生き残りの知られざる痕跡が見つかる可能性も■
角幡がその足跡を追跡している英国フランクリン探検隊とは、1845年に「幻の北西航路」の発見のために派遣された探検隊で、カナダ極北部のキングウイリアム島付近で129人の乗組員全員が死亡したとされ、その全容は明らかになっていません。
北西航路とはヨーロッパの国々が北極海付近に想定した商業航路のことです。大航海時代以降、スペイン、ポルトガルに遅れをとったイギリス、フランス、オランダなどの新興国は、東洋との貿易を進めるため北米大陸を北周りに航行する北西航路の発見に乗り出しました。
そしてまさに北西航路の発見を期待されてイギリスを出発したのがフランクリン隊でした。しかし、途中で行方不明になり現在に至るまで、129人の詳しい消息はほとんど分かっていません。
角幡は今回の徒歩行を通じて北極の先住民族イヌイットの目撃証言などを基にフランクリン隊の最後の生き残りルートを想定し、その足跡を辿ろうと考えています。
今回予定しているルートにはほとんど人間が訪れてこなかった地域も含まれます。寒冷で乾燥した気候に守られフランクリン隊の生き残りの知られざる痕跡が見つかる可能性もゼロではありません。

●荻田泰永(おぎた・やすなが)の略歴●
〒071-1261 北海道上川郡鷹栖町21-15-3
電話:/ e-mail:
北極冒険家。1977年神奈川県生まれ。33歳。2000年に冒険家・大場満郎氏の「北磁極を目指す冒険ウォーク」に参加。2002年レゾリュート~グリスフィヨルド単独徒歩行(500キロ)、2004 年グリーンランド内陸氷床国際犬ぞり縦断隊(2000キロ)、2010年レゾリュート~北磁極単独徒歩行(650キロ)など。ホームページhttp://www.ogita-exp.com/
●角幡唯介(かくはた・ゆうすけ)の略歴●
〒171-0051 東京都豊島区長崎3-14-2-205/ E-mail 
電話・ファクス  携帯 
ノンフィクションライター・探検家。元朝日新聞記者。1976年北海道生まれ。35歳。2002~03年、2009年、二度にわたりチベット・ツアンポー峡谷を単独で探検。その模様を書いた「空白の五マイル」(集英社)で第八回開高健ノンフィクション賞を受賞。2011年夏、ネパールの雪男捜索をルポした「雪男は向こうからやって来た」が集英社から発売される予定。
ブログ「ホ トケの顔も三度まで」http://blog.goo.ne.jp/bazoooka/

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株式会社マイロプス内/担当・折坂聡彦
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