Linuxの成長促進に取り組むグローバルな非営利団体であるThe Linux Foundation (略称:LF)は、来る6月1日(水)  ~3日(金) パシフィコ横浜で開催するアジア地区最大規模のLinux/OSS国際技術カンファレンス「LinuxCon Japan 2011」(以下 LinuxCon Japan)の注目プログラムを発表しました。


去る2月14日  、ロンドン証券取引所(LSE)が、新しいLinuxベースの取引システム「Millennium Exchange」を稼働開始し、ニューヨーク、NASDAQ、東証に加えて世界経済の中枢を担うシステムをLinuxが支えています。
また、最新の「スーパーコンピュータTop500」では、そのOSの約90%がLinuxであり、ミッションクリティカルなシステムや大規模システムでも確実にLinuxの普及が加速しています。
さらに、スマートフォンや情報家電、車載システムなどの組み込み製品におけるLinuxの利用は近年著しく増加しており、社会基盤を支えるOSの価値の高い選択肢であるLinuxの成長を加速させ、Linuxのエコシステムを維持、拡大することが極めて重要です。


The Linux Foundationは、日本のNEC、日立、富士通はじめ世界中のLinux関連企業による支援の下、Linuxの成長、企業による開発コミュニティの活用とコミュニティへの貢献を促進するために活動しています。北米、南米、欧州、アジアの4拠点で毎年開催(※1) し、あらゆるステークホルダーに参加の門戸を開放する「LinuxCon」は、Linuxユーザーが開発コミュニティのトップと対面で情報交換し協業を促進する貴重な機会であり、「LinuxCon」で協議された内容は開発コミュニティの今後の方向性に大きな影響を与えます。
たとえば、昨年の「LinuxCon Japan」では、トレーシング(Tracing)のミニサミットが開催され、その成果がその後の「Kernel Summit (※2)」で報告され、Linuxベースのシステムサポートに重要なトレーシング機能の開発方針に大きな影響を与えました。この動きは、今後、Linuxのサポートをビジネスとする日本のベンダーやシステムインテグレータのビジネスに大きな価値をもたらすと考えています。


そして、今回3回目となる「LinuxCon Japan」では、Linux創始者であるLinus Torvalds氏が再び来日します。2009年の第1回「LinuxCon Japan」で来日したLinus氏は、Linuxの創始から今日に至る体験談などを通じて、Linux/OSSの価値や魅力をアジアの関係者と共有しました。今年は、基調講演に加えて、日本の開発者との交流を深める活動に多くの時間を割きます。

また、クラウドコンピューティングの中核である仮想化技術「KVM」、証券取引所などの大規模システムにおける信頼性確保に重要な技術であるTrace技術、大規模データの処理に欠かせないファイルシステム、今後Linuxが重要な役割を担う自動車業界ならびにモバイルや情報家電分野などに必要な技術について、重要な発表、議論・決定が行われるものと期待されます。

さらに、企業がLinuxを導入する際に必要不可欠となるライセンスコンプライアンスや、ユーザーにとって最も身近な存在であるディストリビューションの動向など、コア技術以外の重要なトピックにもフォーカスします。


尚、「LinuxCon Japan」のプログラムは、基調講演の他、世界中から公募し厳正な審査を経た技術発表(プレゼンテーション、パネル、分科会、テクニカルチュートリアル)を中核として構成されます。この技術発表申込み?(CFP:Call for Participation)?を3月11日  (米国太平洋夏時間)まで受け付けており、その後、コミュニティや日本とアジアを中心とする業界リーダーで構成されるプログラムコミッティにより厳正に審査、選考されます。
また、「LinuxCon Japan」のプログラム全体の企画も、日本の業界リーダーによって構成されるステアリングコミッティが担います。



◆ 主な基調講演  (敬称略)
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・Linus Torvalds … Linux創始者。2009年の第1回「LinuxCon Japan」(当時「Japan Linux Symposium」) に次ぐ来日
・Jim Zemlin … The Linux Foundation エグゼクティブ・ディレクタ
・James Bottomley … SCSI Subsystemメンテナ、Novell
・Jon Corbet … LWN.netエディタ、カーネル開発者
・Kernel Developers Panel … コミュニティリーダーが最新トピックに関する今後の動向に関して議論
・Asian Developers Panel … 日・中・韓で特に活躍著しい開発者が登壇し、アジアにおけるカーネル開発やその意義を議論

                                    ほか
◆ 注目トピック
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(1) Linux Kernel 全般
・ファイルシステム:Ext4、Btrfsなど
・仮想化:KVM、ネットワーク
・高速化、高信頼化技術

(2) 組み込みLinux
・SMP(メモリ共有型並列コンピューティング)対応
・パワーマネジメント
・ディストリビューション:Android、MeeGoなど
・標準化:Linaro、Yocto Project

(3) その他
・ライセンスコンプライアンス(企業がLinuxを導入する際の法的な取り組みなど)
・ディストリビューションの動向:RHEL6、Debian、Ubuntu、Fedora、SUSEなど


◆「LinuxCon Japan 2011」開催概要
http://events.linuxfoundation.jp/events/linuxcon-japan
◇日 程:2011年6月1日(水)  ~3日(金)
◇場 所:パシフィコ横浜

◇内 容:基調講演、カーネルメンテナの特別講演、技術発表、テクニカルチュートリアル、
     BOF(分科会)、ミニサミットなどを予定
     ※プログラム詳細は順次Webサイトにて公開。

◇来場者:約500名(予定)
◇対 象:Linuxおよびオープンソースソフトウェアに関心を持つすべての方

◇参加費:2月20日  まで100 USドル(50%割引料金)
     2月21日  ~4月20日  まで 150 USドル(25%割引料金)
     4月21日  以降 200 USドル(通常料金)
◇申込み:以下のWebサイトからお申し込みください。
 http://events.linuxfoundation.jp/events/linuxcon-japan/register



◆「LinuxCon Japan 2011」 ステアリングコミッティのメンバー (敬称略)
・Yoshiya Eto, Fujitsu
・Hisashi Hashimoto, Hitachi
・Hiroshi Miura, NTT Data
・Hisao Munakata, Renesas
・Tsugikazu Shibata, NEC
・Noriaki Fukuyasu, The Linux Foundation
・C. Craig Ross, The Linux Foundation


◆「LinuxCon Japan 2011」のプログラムコミッティのメンバー (敬称略)
・Masami Hiramatsu, Hitachi
・Naoaki Maeda, Fujitsu
・Paul Mundt, Renesas
・I.P. Park, Samsung
・Tsugikazu Shibata, NEC
・Fernando Luis Vazquez Cao, NTT
・Ric Wheeler, Red Hat
・Chris Wright, Red Hat
・Ibrahim Haddad, The Linux Foundation
・C. Craig Ross, The Linux Foundation


※1  
「LinuxCon」は、2009年から北米とアジア、2010年から南米で開催され、今年からヨーロッパが加わります。今年は、アジア(6月日本/横浜)、北米(8月カナダ/バンクーバー)、南米(11月ブラジル/サンパウロ)、ヨーロッパ(10月チェコ/プラハ)で開催されます。The Linux Foundationは、「LinuxCon」の他に、「Collaboration Summit」、「Kernel Summit」、「End User Summit」など多様なLinuxイベントを開催し、世界中のLinux関係者の情報交換と協業の機会を提供しています。

※2  
Kernel Summitは、世界のLinux開発者が一堂に会し、現在のLinuxの状況、および、Linuxの次の開発サイクルの計画を論じる重要な年次イベントです。2009年には東京で開催されました。北米地域外で開催されるものとしては、2007年英ケンブリッジでの開催に次ぎ、アジアでは初の開催となりました。