2025/01/07 12:35
医療機関
<発表のポイント>
・新型コロナ後遺症の患者さんの一部において、重度な倦怠感が長引き日常生活に支障をきたす、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)という病態に移行する可能性があります。
・コロナ後遺症の経過中にME/CFSへ移行しやすい要素として、新型コロナに感染した急性期の重症度や、喫煙・飲酒の習慣、ワクチン未接種が挙げられました。
・オミクロン株期の感染では、以前の流行株よりME/CFSへの移行率は低いものの、頭の中に霧がかかったように集中力や記憶力が低下するブレインフォグ症状の頻度が高いことが示されました。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)大学院医歯薬学総合研究科の森田悟大学院生と、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)総合内科学の大塚文男教授らのグループは、岡山大学病院総合内科・総合診療科のコロナ後遺症外来(コロナ・アフターケア外来)を受診した患者さんの中で、感染時期別の筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の臨床的特徴について研究を行いました。
その結果、オミクロン株流行期に感染したコロナ後遺症患者さんにおけるME/CFSへの移行頻度は3.3%と低い一方で、ブレインフォグ症状の割合が81.3%と高く、後遺症に関連したME/CFSの症候は感染時期により異なることが示されました。この研究成果は、2024年12月9日 、国際学術雑誌「PLOS ONE」に掲載されました。
ME/CFSは全身のさまざまな機能障害により生活の質を著しく低下させる原因不明の疾患で、コロナ後遺症の患者さんの一部はME/CFSと診断されることがあります。新型コロナウイルス感染症の流行持続に伴い、コロナ後遺症に関連したME/CFS患者さんの数も増える可能性があります。新型コロナウイルス感染症から回復後も、長引く倦怠感、集中力や記憶力の低下などの症状に留意して、かかりつけ医や専門医へ相談し、個々の症状に対する適切な検査や治療を受けることが大切です。
なお本件は、2024年12月26日 に開催された岡山大学2024年12月 定例記者会見において公開されました。
◆森田悟大学院生と大塚文男教授からのひとこと
<森田悟大学院生>
コロナ・アフターケア外来は、総合内科・総合診療科の医師がチームで担当しています。患者さん一人ひとりに真摯に向き合う診療の実践に努めたことで、ME/CFSにおける新たな知見に繋がったのだと思います。いまだ不明点の多いME/CFSをはじめ、病に苦しむ方々の一助となれるよう引き続き精進してまいります。
<大塚文男教授>
新型コロナ感染症の5類移行後1年半が経過し、感染者の数は減少していますが、感染後も数ヶ月持続する倦怠感や、頭痛、睡眠障害を訴える後遺症は、一定の割合で発生しています。コロナ後遺症の発症機序や特効薬についてはいまだ研究途上ですが、本研究が後遺症のみならず、ME/CFSの病態解明にも寄与できることを期待しています。
◆論文情報
論文名: Phase-dependent trends in the prevalence of myalgic encephalomyelitis / chronic fatigue syndrome (ME/CFS) related to long COVID: A criteria-based retrospective study in Japan.
掲載紙:PLOS ONE
著者:Satoru Morita, Kazuki Tokumasu, Yuki Otsuka, Hiroyuki Honda, Yasuhiro Nakano, Naruhiko Sunada, Yasue Sakurada, Yui Matsuda, Yoshiaki Soejima, Keigo Ueda, and Fumio Otsuka.
DOI:https://doi.org/10.1371/journal.pone.0315385
URL:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0315385
◆詳しい研究内容について
新型コロナウイルス罹患後症状に関連した筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の特徴に関する研究
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20241226-3.pdf
◆参 考
・岡山大学病院
https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/
・岡山大学病院コロナ・アフターケア外来
https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/index377.html
・岡山大学病院総合内科・総合診療科
https://okayama-u-genmed.com/
◆参考情報
・【岡山大学】新型コロナ後遺症の原因とされる宿主内持続感染は起きるのか〜全身性感染と不十分な免疫応答は持続感染のリスク要因に〜
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000778.000072793.html
・【岡山大学】高齢者施設入所者のおよそ1割は予防接種にもかかわらず免疫反応が極めて弱く、対応が必要
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000800.000072793.html
・【岡山大学】新型コロナワクチン接種後に発現した持続的な副反応の特徴を検討
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001879.000072793.html
・【岡山大学】コロナ感染後の長引く症状のすべてが後遺症とは限らない~コロナ後遺症外来で見つかった内科疾患から~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002092.000072793.html
・【岡山大学】新型コロナ後遺症による長引く症状が就労へ与える影響を調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002395.000072793.html
・【岡山大学】新型コロナ後遺症の症状に見られる立ちくらみ症状の特徴を調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002437.000072793.html
・【岡山大学】持続感染を伴う新型コロナ後遺症の予防法並びに治療法の検討〜ワクチンと抗ウイルス薬の同時併用には症状回復の効果が期待される〜
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002454.000072793.html
・【岡山大学】新型コロナウイルス罹患後症状(コロナ後遺症)の倦怠感に対する臨床研究を開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002809.000072793.html
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 医歯薬学域(医)総合内科学 教授 大塚文男
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1 岡山大学鹿田キャンパス
TEL:
FAX:
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1317.html
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
・新型コロナ後遺症の患者さんの一部において、重度な倦怠感が長引き日常生活に支障をきたす、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)という病態に移行する可能性があります。
・コロナ後遺症の経過中にME/CFSへ移行しやすい要素として、新型コロナに感染した急性期の重症度や、喫煙・飲酒の習慣、ワクチン未接種が挙げられました。
・オミクロン株期の感染では、以前の流行株よりME/CFSへの移行率は低いものの、頭の中に霧がかかったように集中力や記憶力が低下するブレインフォグ症状の頻度が高いことが示されました。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)大学院医歯薬学総合研究科の森田悟大学院生と、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)総合内科学の大塚文男教授らのグループは、岡山大学病院総合内科・総合診療科のコロナ後遺症外来(コロナ・アフターケア外来)を受診した患者さんの中で、感染時期別の筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の臨床的特徴について研究を行いました。
その結果、オミクロン株流行期に感染したコロナ後遺症患者さんにおけるME/CFSへの移行頻度は3.3%と低い一方で、ブレインフォグ症状の割合が81.3%と高く、後遺症に関連したME/CFSの症候は感染時期により異なることが示されました。この研究成果は、2024年12月9日 、国際学術雑誌「PLOS ONE」に掲載されました。
ME/CFSは全身のさまざまな機能障害により生活の質を著しく低下させる原因不明の疾患で、コロナ後遺症の患者さんの一部はME/CFSと診断されることがあります。新型コロナウイルス感染症の流行持続に伴い、コロナ後遺症に関連したME/CFS患者さんの数も増える可能性があります。新型コロナウイルス感染症から回復後も、長引く倦怠感、集中力や記憶力の低下などの症状に留意して、かかりつけ医や専門医へ相談し、個々の症状に対する適切な検査や治療を受けることが大切です。
なお本件は、2024年12月26日 に開催された岡山大学2024年12月 定例記者会見において公開されました。
◆森田悟大学院生と大塚文男教授からのひとこと
<森田悟大学院生>
コロナ・アフターケア外来は、総合内科・総合診療科の医師がチームで担当しています。患者さん一人ひとりに真摯に向き合う診療の実践に努めたことで、ME/CFSにおける新たな知見に繋がったのだと思います。いまだ不明点の多いME/CFSをはじめ、病に苦しむ方々の一助となれるよう引き続き精進してまいります。
<大塚文男教授>
新型コロナ感染症の5類移行後1年半が経過し、感染者の数は減少していますが、感染後も数ヶ月持続する倦怠感や、頭痛、睡眠障害を訴える後遺症は、一定の割合で発生しています。コロナ後遺症の発症機序や特効薬についてはいまだ研究途上ですが、本研究が後遺症のみならず、ME/CFSの病態解明にも寄与できることを期待しています。
◆論文情報
論文名: Phase-dependent trends in the prevalence of myalgic encephalomyelitis / chronic fatigue syndrome (ME/CFS) related to long COVID: A criteria-based retrospective study in Japan.
掲載紙:PLOS ONE
著者:Satoru Morita, Kazuki Tokumasu, Yuki Otsuka, Hiroyuki Honda, Yasuhiro Nakano, Naruhiko Sunada, Yasue Sakurada, Yui Matsuda, Yoshiaki Soejima, Keigo Ueda, and Fumio Otsuka.
DOI:https://doi.org/10.1371/journal.pone.0315385
URL:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0315385
◆詳しい研究内容について
新型コロナウイルス罹患後症状に関連した筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の特徴に関する研究
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20241226-3.pdf
◆参 考
・岡山大学病院
https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/
・岡山大学病院コロナ・アフターケア外来
https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/index377.html
・岡山大学病院総合内科・総合診療科
https://okayama-u-genmed.com/
◆参考情報
・【岡山大学】新型コロナ後遺症の原因とされる宿主内持続感染は起きるのか〜全身性感染と不十分な免疫応答は持続感染のリスク要因に〜
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000778.000072793.html
・【岡山大学】高齢者施設入所者のおよそ1割は予防接種にもかかわらず免疫反応が極めて弱く、対応が必要
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000800.000072793.html
・【岡山大学】新型コロナワクチン接種後に発現した持続的な副反応の特徴を検討
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001879.000072793.html
・【岡山大学】コロナ感染後の長引く症状のすべてが後遺症とは限らない~コロナ後遺症外来で見つかった内科疾患から~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002092.000072793.html
・【岡山大学】新型コロナ後遺症による長引く症状が就労へ与える影響を調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002395.000072793.html
・【岡山大学】新型コロナ後遺症の症状に見られる立ちくらみ症状の特徴を調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002437.000072793.html
・【岡山大学】持続感染を伴う新型コロナ後遺症の予防法並びに治療法の検討〜ワクチンと抗ウイルス薬の同時併用には症状回復の効果が期待される〜
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002454.000072793.html
・【岡山大学】新型コロナウイルス罹患後症状(コロナ後遺症)の倦怠感に対する臨床研究を開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002809.000072793.html
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 医歯薬学域(医)総合内科学 教授 大塚文男
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1 岡山大学鹿田キャンパス
TEL:
FAX:
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1317.html
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください