2024/11/11 21:14
農林水産
<発表のポイント>
・次世代DNAシーケンサーを用いて早生樹アカシアの網羅的遺伝子解析を行いました。
・転写因子などゲノム編集に必要なターゲット塩基配列を高解像度に解読できました。
・耐病性、耐塩性など育種と新品種の選抜に必要とされるマーカー配列を同定しました。
・カーボンニュートラルなバイオマス発電を目指した早生樹の分子育種技術を開発します。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の学術研究院環境生命自然科学学域(農)の田村隆教授と住友林業株式会社筑波研究所グループは、早生樹アカシア(Acacia crassicarpa)で発現している遺伝子の網羅的解析を実施しました。本研究成果は2024年8月29日 、スイスの植物科学専門誌「Frontiers in Plant Science」にOriginal Research Articleとして掲載されました。
早生樹アカシアは、5年で森をつくるマメ科の樹木であり東南アジアやオーストラリアに自生する天然バイオマス資源です。発電燃料として用途開発が期待されていますが、カリウム含量が高く、燃焼によって強アルカリ性かつ粘着性の高い灰が生じるために、燃焼炉のベルトコンベアを破損させるなど、育種上の改善課題をいくつか抱えています。これまで樹木の育種は数世紀もかけて優良品種の出現を待ち、長い時間を掛けて選抜を重ねるほかありませんでした。本研究ではアカシアの培養細胞における発現遺伝子を網羅的に解読しました。塩基配列の解読に成功すればゲノム編集に必要なターゲット配列を設計できるので、短期間で樹木を品種改良できる可能性が芽生えてきます。
今回、新たに解読された93,317個の遺伝子は、早生樹アカシアの分子育種を切り開く学術的基盤を提供します。また優良種を選抜するうえで個体を識別するためのマーカー配列をもつ転写因子遺伝子群も同定しました。この配列情報により分子レベルで優良品種を識別できることが期待されます。
本研究成果は、2024年10月23日 に開催された岡山大学定例記者会見において公開されました。
◆田村隆教授からひとこと
春先の弱い日光でも旺盛に成長するレンゲのようにマメ科の植物は、窒素固定細菌と共生することにより、炭素固定の律速である窒素を大気から吸収しています。早生樹アカシアもマメ科の樹木です。驚異的な成長スピードの一因として、その樹木のどこかに窒素固定生物を隠し持っているのかも知れません。早生樹アカシアはプランテーションにおいて大規模に栽培されて産業利用されていますが、学術的には多くの謎が残されています。本研究で公開されたアカシアの遺伝子のカタログは、そのような秘密を解き明かす知的基盤を提供すると期待されます。
◆論文情報
論 文 名:Illumina-based transcriptomic analysis of the fast-growing leguminous tree Acacia crassicarpa: functional gene annotation and identification of novel SSR-markers
掲 載 紙:Frontiers in Plant Science
著 者:Ishio, S. Kusunoki, K., Nemoto, M., Kanao, T., Tamura, T.
D O I:10.3389/fpls.2024.1339958
U R L:https://www.frontiersin.org/journals/plant-science/articles/10.3389/fpls.2024.1339958/full
◆研究資金
本研究は、住友林業株式会社との共同研究および科学技術振興機構によるターゲット駆動型研究開発による適応可能かつシームレスな技術移転プログラム(A-STEP, JPMJTM20QX21445979)による支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
早生樹アカシアの網羅的発現遺伝子の解読と育種マーカー配列の同定〜5年で森をつくるマメ科樹木の網羅的発現遺伝子の解読と育種〜
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20241023-3.pdf
◆参 考
・岡山大学農学部
https://www.okayama-u.ac.jp/user/agr/
・岡山大学大学院環境生命自然科学研究科
https://www.elst.okayama-u.ac.jp/
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域(農) 教授 田村 隆
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1丁目1番1号 岡山大学津島キャンパス
TEL:
FAX:
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1293.html
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 機器共用推進本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:、
FAX:
E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://fspp.kikibun.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://venture.okayama-u.ac.jp/
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html
・次世代DNAシーケンサーを用いて早生樹アカシアの網羅的遺伝子解析を行いました。
・転写因子などゲノム編集に必要なターゲット塩基配列を高解像度に解読できました。
・耐病性、耐塩性など育種と新品種の選抜に必要とされるマーカー配列を同定しました。
・カーボンニュートラルなバイオマス発電を目指した早生樹の分子育種技術を開発します。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の学術研究院環境生命自然科学学域(農)の田村隆教授と住友林業株式会社筑波研究所グループは、早生樹アカシア(Acacia crassicarpa)で発現している遺伝子の網羅的解析を実施しました。本研究成果は2024年8月29日 、スイスの植物科学専門誌「Frontiers in Plant Science」にOriginal Research Articleとして掲載されました。
早生樹アカシアは、5年で森をつくるマメ科の樹木であり東南アジアやオーストラリアに自生する天然バイオマス資源です。発電燃料として用途開発が期待されていますが、カリウム含量が高く、燃焼によって強アルカリ性かつ粘着性の高い灰が生じるために、燃焼炉のベルトコンベアを破損させるなど、育種上の改善課題をいくつか抱えています。これまで樹木の育種は数世紀もかけて優良品種の出現を待ち、長い時間を掛けて選抜を重ねるほかありませんでした。本研究ではアカシアの培養細胞における発現遺伝子を網羅的に解読しました。塩基配列の解読に成功すればゲノム編集に必要なターゲット配列を設計できるので、短期間で樹木を品種改良できる可能性が芽生えてきます。
今回、新たに解読された93,317個の遺伝子は、早生樹アカシアの分子育種を切り開く学術的基盤を提供します。また優良種を選抜するうえで個体を識別するためのマーカー配列をもつ転写因子遺伝子群も同定しました。この配列情報により分子レベルで優良品種を識別できることが期待されます。
本研究成果は、2024年10月23日 に開催された岡山大学定例記者会見において公開されました。
◆田村隆教授からひとこと
春先の弱い日光でも旺盛に成長するレンゲのようにマメ科の植物は、窒素固定細菌と共生することにより、炭素固定の律速である窒素を大気から吸収しています。早生樹アカシアもマメ科の樹木です。驚異的な成長スピードの一因として、その樹木のどこかに窒素固定生物を隠し持っているのかも知れません。早生樹アカシアはプランテーションにおいて大規模に栽培されて産業利用されていますが、学術的には多くの謎が残されています。本研究で公開されたアカシアの遺伝子のカタログは、そのような秘密を解き明かす知的基盤を提供すると期待されます。
◆論文情報
論 文 名:Illumina-based transcriptomic analysis of the fast-growing leguminous tree Acacia crassicarpa: functional gene annotation and identification of novel SSR-markers
掲 載 紙:Frontiers in Plant Science
著 者:Ishio, S. Kusunoki, K., Nemoto, M., Kanao, T., Tamura, T.
D O I:10.3389/fpls.2024.1339958
U R L:https://www.frontiersin.org/journals/plant-science/articles/10.3389/fpls.2024.1339958/full
◆研究資金
本研究は、住友林業株式会社との共同研究および科学技術振興機構によるターゲット駆動型研究開発による適応可能かつシームレスな技術移転プログラム(A-STEP, JPMJTM20QX21445979)による支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
早生樹アカシアの網羅的発現遺伝子の解読と育種マーカー配列の同定〜5年で森をつくるマメ科樹木の網羅的発現遺伝子の解読と育種〜
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20241023-3.pdf
◆参 考
・岡山大学農学部
https://www.okayama-u.ac.jp/user/agr/
・岡山大学大学院環境生命自然科学研究科
https://www.elst.okayama-u.ac.jp/
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域(農) 教授 田村 隆
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1丁目1番1号 岡山大学津島キャンパス
TEL:
FAX:
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1293.html
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 機器共用推進本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:、
FAX:
E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://fspp.kikibun.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://venture.okayama-u.ac.jp/
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html