2024/07/24 17:58
教育・研究エンジニア
<発表のポイント>
・ダーウィン以来、メスとの交尾をめぐってオス同士が戦う行動は、ゾウアザラシやシカなど多くの生物で研究されてきました。昆虫でも角を使って相手オスを投げ飛ばすカブトムシや、大あごで相手を挟んで勝負するクワガタムシなど多くの研究事例が知られています。
・本研究で観察した大型甲虫であるツヤケシオオゴミムシダマシのオスは際立った武器を持っていません。雄間闘争を観察すると、相手オスの脚を噛み合う奇妙な戦いをします。しかし、なぜライバルオス同士で脚を噛み合うのかは、世界で誰もその理由を明らかにしていない謎でした。
・今回、ツヤケシオオゴミムシダマシの体サイズを揃えた36ペアのオス同士を戦わせて精査しました。戦いに勝ったオスと負けたオスの闘争後の行動を比べると、脚を噛まれて戦いに負けたオスはその後のメスとの交尾において、脚をうまく地面につけて踏ん張れず、残せる子供の数が有意に少ないことがわかり、脚を噛み合う理由が世界で初めて明らかとなりました。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の大学院環境生命自然科学研究科博士後期課程2年の松浦輝尚大学院生と岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(農)の宮竹貴久教授は、ツヤケシオオゴミムシダマシ(通称:ジャイアントミルワーム)のメスをめぐるオス同士の闘争行動を研究し、オス同士が相手の脚を噛み合うという奇妙な喧嘩を行うことを発見しました。
実験の結果、喧嘩の後にメスと交尾する際、ライバルオスに後ろ脚を噛まれて負けたオスは後ろ脚で踏ん張ることができなくなるため、うまく交尾姿勢を保てず残せる子供の数が圧倒的に減少することを世界で初めて実証しました。角を使って戦うカブトムシや、大あごを使って戦うクワガタは多いですが、相手オスの後ろ脚を噛む戦いは珍しく、その理由まで明らかにした研究成果は世界初となりました。
この研究成果は、2024年7月19日 午前9時(日本時間)、Springerの日本動物行動学会誌「Journal of Ethology」にオンライン掲載されました。
◆松浦輝尚大学院生
ジャイアントミルワームのような顕著に発達した形質を持っていない種でも不思議な闘争が確認できたことや、その闘争が原因で交尾が下手になったことは驚くべきことです。また、他の目立つ形質が見られない生物でも、まだ知られていない闘争が見られる可能性が十分にあると思います。
◆論文情報
論文名:Reduced fitness in losers of leg-biting male combat compared to uncontested males in Zophobas atratus
邦題名「ツヤケシオオゴミムシダマシにおいて、脚を噛まれて敗北したオスの適応度は、戦わなかったオスに比べて低下する」
掲載誌:Journal of Ethology
著 者:Teruhisa Matsuura, Takahisa Miyatake
U R L:https://doi.org/10.1007/s10164-024-00818-4
◆研究資金
本研究は独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費」(JP23K21343)の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
雄間闘争で脚を噛まれて負けた甲虫のオスは、交尾のときに踏ん張れない~ライバルに脚を噛まれたオスは残せる子の数が減る!~
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20240719-1.pdf
◆参 考
・岡山大学 学術研究院 環境生命科学学域 昆虫生態学研究室(宮竹貴久教授)
https://sites.google.com/view/miyatake/home
・岡山大学農学部
https://www.okayama-u.ac.jp/user/agr/index.html
・岡山大学大学院環境生命自然科学研究科
https://www.elst.okayama-u.ac.jp/
◆参考情報
・死んだふりを制御する遺伝子群を世界に先駆けて発見!~ファーブルも注目した死にまねの仕組みを解明~
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id669.html
・歩かない虫のオスは、より多くの子の父となる!~より歩かないオスのほうがメスをめぐる競争に勝つ~
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id638.html
・大きな大顎を持つオスは死んだふりをしやすい?甲虫を用いた検証により世界で初めて明らかに
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id802.html
・コーヒーは虫のオスにとって精力剤なのか~カフェインを飲んだオスは、求愛にせっかちになる!~
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id774.html
・体内時計のリズムの振幅は北に行くほど小さくなる!昆虫を使った実証で発見
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id806.html
・世界初! 天敵から逃れる戦略を制御するゲノムの特徴を解明 ~死んだふりを操る遺伝子の全貌を突き止めた~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000337.000072793.html
・虫の求愛にもご当地の流儀があった!~婚姻贈呈に見られた地域差~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000721.000072793.html
・サツマイモの大害虫イモゾウムシはイモ苗のある場所に固執する ~環境にやさしい害虫根絶に役立つ世界初の発見!~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002023.000072793.html
・死んだふりしている場合じゃない!~オスは異性のフェロモンにより死んだふりから覚醒する事を世界で初めて発見!~〔琉球大学、岡山大学〕
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002262.000072793.html
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域(農) 教授 宮竹貴久
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス
TEL:
FAX:
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html
・ダーウィン以来、メスとの交尾をめぐってオス同士が戦う行動は、ゾウアザラシやシカなど多くの生物で研究されてきました。昆虫でも角を使って相手オスを投げ飛ばすカブトムシや、大あごで相手を挟んで勝負するクワガタムシなど多くの研究事例が知られています。
・本研究で観察した大型甲虫であるツヤケシオオゴミムシダマシのオスは際立った武器を持っていません。雄間闘争を観察すると、相手オスの脚を噛み合う奇妙な戦いをします。しかし、なぜライバルオス同士で脚を噛み合うのかは、世界で誰もその理由を明らかにしていない謎でした。
・今回、ツヤケシオオゴミムシダマシの体サイズを揃えた36ペアのオス同士を戦わせて精査しました。戦いに勝ったオスと負けたオスの闘争後の行動を比べると、脚を噛まれて戦いに負けたオスはその後のメスとの交尾において、脚をうまく地面につけて踏ん張れず、残せる子供の数が有意に少ないことがわかり、脚を噛み合う理由が世界で初めて明らかとなりました。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の大学院環境生命自然科学研究科博士後期課程2年の松浦輝尚大学院生と岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(農)の宮竹貴久教授は、ツヤケシオオゴミムシダマシ(通称:ジャイアントミルワーム)のメスをめぐるオス同士の闘争行動を研究し、オス同士が相手の脚を噛み合うという奇妙な喧嘩を行うことを発見しました。
実験の結果、喧嘩の後にメスと交尾する際、ライバルオスに後ろ脚を噛まれて負けたオスは後ろ脚で踏ん張ることができなくなるため、うまく交尾姿勢を保てず残せる子供の数が圧倒的に減少することを世界で初めて実証しました。角を使って戦うカブトムシや、大あごを使って戦うクワガタは多いですが、相手オスの後ろ脚を噛む戦いは珍しく、その理由まで明らかにした研究成果は世界初となりました。
この研究成果は、2024年7月19日 午前9時(日本時間)、Springerの日本動物行動学会誌「Journal of Ethology」にオンライン掲載されました。
◆松浦輝尚大学院生
ジャイアントミルワームのような顕著に発達した形質を持っていない種でも不思議な闘争が確認できたことや、その闘争が原因で交尾が下手になったことは驚くべきことです。また、他の目立つ形質が見られない生物でも、まだ知られていない闘争が見られる可能性が十分にあると思います。
◆論文情報
論文名:Reduced fitness in losers of leg-biting male combat compared to uncontested males in Zophobas atratus
邦題名「ツヤケシオオゴミムシダマシにおいて、脚を噛まれて敗北したオスの適応度は、戦わなかったオスに比べて低下する」
掲載誌:Journal of Ethology
著 者:Teruhisa Matsuura, Takahisa Miyatake
U R L:https://doi.org/10.1007/s10164-024-00818-4
◆研究資金
本研究は独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費」(JP23K21343)の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
雄間闘争で脚を噛まれて負けた甲虫のオスは、交尾のときに踏ん張れない~ライバルに脚を噛まれたオスは残せる子の数が減る!~
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20240719-1.pdf
◆参 考
・岡山大学 学術研究院 環境生命科学学域 昆虫生態学研究室(宮竹貴久教授)
https://sites.google.com/view/miyatake/home
・岡山大学農学部
https://www.okayama-u.ac.jp/user/agr/index.html
・岡山大学大学院環境生命自然科学研究科
https://www.elst.okayama-u.ac.jp/
◆参考情報
・死んだふりを制御する遺伝子群を世界に先駆けて発見!~ファーブルも注目した死にまねの仕組みを解明~
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id669.html
・歩かない虫のオスは、より多くの子の父となる!~より歩かないオスのほうがメスをめぐる競争に勝つ~
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id638.html
・大きな大顎を持つオスは死んだふりをしやすい?甲虫を用いた検証により世界で初めて明らかに
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id802.html
・コーヒーは虫のオスにとって精力剤なのか~カフェインを飲んだオスは、求愛にせっかちになる!~
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id774.html
・体内時計のリズムの振幅は北に行くほど小さくなる!昆虫を使った実証で発見
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id806.html
・世界初! 天敵から逃れる戦略を制御するゲノムの特徴を解明 ~死んだふりを操る遺伝子の全貌を突き止めた~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000337.000072793.html
・虫の求愛にもご当地の流儀があった!~婚姻贈呈に見られた地域差~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000721.000072793.html
・サツマイモの大害虫イモゾウムシはイモ苗のある場所に固執する ~環境にやさしい害虫根絶に役立つ世界初の発見!~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002023.000072793.html
・死んだふりしている場合じゃない!~オスは異性のフェロモンにより死んだふりから覚醒する事を世界で初めて発見!~〔琉球大学、岡山大学〕
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002262.000072793.html
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域(農) 教授 宮竹貴久
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス
TEL:
FAX:
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html