2024/02/25 13:49
農林水産
<発表のポイント>
・サツマイモを加害する大害虫であるイモゾウムシは海外から日本の南西諸島に侵入した侵略的外来生物で、農業を守るうえで特殊害虫とされ、警戒されています。
・サツマイモの特殊害虫とされている虫にアリモドキゾウムシとイモゾウムシがいます。前者は誘引力の高いフェロモンも開発され、久米島と津堅島で根絶が達成されていますが、イモゾウムシにはそのような剤がなく、生態と行動がほとんどわかっていませんでした。そのため南西諸島において本種の根絶に向けての取り組みが難航しています。
・本研究ではイモゾウムシが、サツマイモの苗の上でどこに分布し、繁殖行動がどこで生じるのかを観察によって調べました。その結果、本種は昼間、苗の節で休み、活動の盛んな夜間は苗から出ていく一方で、マウントと交尾行動は苗の節でよく見られることが世界で初めてわかりました。また、苗を逆さにした場合でも、メスは苗の地際部に卵を産み付けることから、根に近い苗の部分に産卵を誘発する物質がある可能性も示唆されました。
◆概 要
沖縄県病害虫防除技術センターの浦崎貴美子班長と岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域の松村健太郎研究助教と宮竹貴久教授らの研究グループは、サツマイモの大害虫で特殊害虫に指定されているイモゾウムシ(Euscepes postfasciatus)がサツマイモの植物苗のどの部分に滞在するか48時間、調べたところ、昼間は雌雄とも節に滞在し、交尾が生じる夜間は、とくにメスが苗から移動し離れる一方で、マウント(交尾を含む)行動は苗の節で見られ、卵を地際部の苗に産み付ける習性があることを世界で初めて発見しました。
イモゾウムシはカリブ島しょ域原産ですが、1947 年に沖縄本島で見つかって以来、沖縄県と奄美群島の全域に侵入した侵略的外来生物で、南西諸島では不妊虫放飼法による根絶事業が実施されています。本発見は、本種の効率的な根絶事業に役立つ情報です。
この研究成果は2024年2月22日 、Springer の日本応用動物昆虫学会誌「Applied Entomology and Zoology」にオンライン掲載されました。
◆宮竹貴久教授からのひとこと
敵を知らなければ敵を倒すことはできません。害虫を防除するとき、防除したい害虫の行動や生態を調べておく基礎的な研究はとても大切です。とくに不妊虫放飼法のように敵の交尾を介して害虫を根絶する作戦に害虫の繁殖や分布を知ることは大切です。根絶作戦が進展し、サツマイモ産地の役にたてば嬉しく思います。
◆論文情報
論文名:Spatio-temporal distribution of adults and eggs of the West Indian sweetpotato weevil Euscepes postfasciatus (Coleoptera: Curculionidae) on sweet potato stems
邦題名「サツマイモ苗上でのイモゾウムシの成虫と産卵場所の時空間分布」
掲載誌:Applied Entomology and Zoology
著 者:Kimiko Urasaki, Kentarou Matsumura, Takahisa Miyatake
D O I:10.1007/s11-0
U R L:https://link.springer.com/article/10.1007/s13355-024-00861-0
◆研究資金
本研究は独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費」(21K19116)の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
サツマイモの大害虫イモゾウムシはイモ苗のある場所に固執する~環境にやさしい害虫根絶に役立つ世界初の発見!~
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20240222-11.pdf
◆参 考
・沖縄県病害虫防除技術センター
https://www.pref.okinawa.jp/shigoto/nogyo/1010700/index.html
・岡山大学 学術研究院 環境生命科学学域 昆虫生態学研究室(宮竹貴久教授)
https://sites.google.com/view/miyatake/home
・岡山大学 学術研究院 環境生命科学学域 昆虫生態学研究室(松村健太郎研究助教)
https://sites.google.com/view/matsuken817/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0?authuser=0
◆参考情報
・体内時計のリズムの振幅は北に行くほど小さくなる!昆虫を使った実証で発見
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id806.html
・世界初! 天敵から逃れる戦略を制御するゲノムの特徴を解明 ~死んだふりを操る遺伝子の全貌を突き止めた~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000337.000072793.html
・食われる側も工夫する:異なる天敵には違う捕食回避戦略を使う甲虫~フリーズか、それとも死を装うのか?~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000497.000072793.html
・虫の求愛にもご当地の流儀があった!~婚姻贈呈に見られた地域差~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000721.000072793.html
・死んだふりに見られた緯度クライン ~北の虫は死んだふりをよく行う~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001335.000072793.html
・いつ、死んだふりから目覚めるべきか ~覚醒を早める集合フェロモンの存在を世界に先駆けて発見!~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001663.000072793.html
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域(農) 教授 宮竹貴久
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス
TEL:
FAX:
https://sites.google.com/view/miyatake/home
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html
・サツマイモを加害する大害虫であるイモゾウムシは海外から日本の南西諸島に侵入した侵略的外来生物で、農業を守るうえで特殊害虫とされ、警戒されています。
・サツマイモの特殊害虫とされている虫にアリモドキゾウムシとイモゾウムシがいます。前者は誘引力の高いフェロモンも開発され、久米島と津堅島で根絶が達成されていますが、イモゾウムシにはそのような剤がなく、生態と行動がほとんどわかっていませんでした。そのため南西諸島において本種の根絶に向けての取り組みが難航しています。
・本研究ではイモゾウムシが、サツマイモの苗の上でどこに分布し、繁殖行動がどこで生じるのかを観察によって調べました。その結果、本種は昼間、苗の節で休み、活動の盛んな夜間は苗から出ていく一方で、マウントと交尾行動は苗の節でよく見られることが世界で初めてわかりました。また、苗を逆さにした場合でも、メスは苗の地際部に卵を産み付けることから、根に近い苗の部分に産卵を誘発する物質がある可能性も示唆されました。
◆概 要
沖縄県病害虫防除技術センターの浦崎貴美子班長と岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域の松村健太郎研究助教と宮竹貴久教授らの研究グループは、サツマイモの大害虫で特殊害虫に指定されているイモゾウムシ(Euscepes postfasciatus)がサツマイモの植物苗のどの部分に滞在するか48時間、調べたところ、昼間は雌雄とも節に滞在し、交尾が生じる夜間は、とくにメスが苗から移動し離れる一方で、マウント(交尾を含む)行動は苗の節で見られ、卵を地際部の苗に産み付ける習性があることを世界で初めて発見しました。
イモゾウムシはカリブ島しょ域原産ですが、1947 年に沖縄本島で見つかって以来、沖縄県と奄美群島の全域に侵入した侵略的外来生物で、南西諸島では不妊虫放飼法による根絶事業が実施されています。本発見は、本種の効率的な根絶事業に役立つ情報です。
この研究成果は2024年2月22日 、Springer の日本応用動物昆虫学会誌「Applied Entomology and Zoology」にオンライン掲載されました。
◆宮竹貴久教授からのひとこと
敵を知らなければ敵を倒すことはできません。害虫を防除するとき、防除したい害虫の行動や生態を調べておく基礎的な研究はとても大切です。とくに不妊虫放飼法のように敵の交尾を介して害虫を根絶する作戦に害虫の繁殖や分布を知ることは大切です。根絶作戦が進展し、サツマイモ産地の役にたてば嬉しく思います。
◆論文情報
論文名:Spatio-temporal distribution of adults and eggs of the West Indian sweetpotato weevil Euscepes postfasciatus (Coleoptera: Curculionidae) on sweet potato stems
邦題名「サツマイモ苗上でのイモゾウムシの成虫と産卵場所の時空間分布」
掲載誌:Applied Entomology and Zoology
著 者:Kimiko Urasaki, Kentarou Matsumura, Takahisa Miyatake
D O I:10.1007/s11-0
U R L:https://link.springer.com/article/10.1007/s13355-024-00861-0
◆研究資金
本研究は独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費」(21K19116)の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
サツマイモの大害虫イモゾウムシはイモ苗のある場所に固執する~環境にやさしい害虫根絶に役立つ世界初の発見!~
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20240222-11.pdf
◆参 考
・沖縄県病害虫防除技術センター
https://www.pref.okinawa.jp/shigoto/nogyo/1010700/index.html
・岡山大学 学術研究院 環境生命科学学域 昆虫生態学研究室(宮竹貴久教授)
https://sites.google.com/view/miyatake/home
・岡山大学 学術研究院 環境生命科学学域 昆虫生態学研究室(松村健太郎研究助教)
https://sites.google.com/view/matsuken817/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0?authuser=0
◆参考情報
・体内時計のリズムの振幅は北に行くほど小さくなる!昆虫を使った実証で発見
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id806.html
・世界初! 天敵から逃れる戦略を制御するゲノムの特徴を解明 ~死んだふりを操る遺伝子の全貌を突き止めた~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000337.000072793.html
・食われる側も工夫する:異なる天敵には違う捕食回避戦略を使う甲虫~フリーズか、それとも死を装うのか?~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000497.000072793.html
・虫の求愛にもご当地の流儀があった!~婚姻贈呈に見られた地域差~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000721.000072793.html
・死んだふりに見られた緯度クライン ~北の虫は死んだふりをよく行う~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001335.000072793.html
・いつ、死んだふりから目覚めるべきか ~覚醒を早める集合フェロモンの存在を世界に先駆けて発見!~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001663.000072793.html
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域(農) 教授 宮竹貴久
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス
TEL:
FAX:
https://sites.google.com/view/miyatake/home
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html