2023/08/08 06:34
教育・研究エンジニア
<発表のポイント>
・研究グループが独自に開発した高温高圧実験技術により、マントル鉱物ガーネットの高圧相転移圧力の温度依存性が、温度上昇に伴い負から正に変化することを発見しました。
・この正負逆転現象はマントル相転移の常識を覆し、プレートの沈み込みを抑制し、かつプリュームの上昇を促進する2つの役割を担うことを示しています。
・マントル中部で、沈み込んだプレートの滞留やマントル最深部から上昇したプリュームが観測できなくなる原因を説明できることが分かりました。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)惑星物質研究所の石井貴之准教授、ドイツ連邦共和国バイロイト大学バイエルン地球科学研究所の桂智男教授を始めとする研究グループと、高輝度光科学研究センター、中華人民共和国北京高圧科学研究センター、北京大学、東北大学の研究グループからなる国際共同研究チームは、独自に開発した世界最高精度の高温高圧実験技術により、マントル主要鉱物ガーネットのブリッジマナイトへの高圧相転移(ポストガーネット転移)圧力の温度依存性を精密に決定しました。
この研究成果は、2023年7月27日 (現地時間)、英国の地球科学雑誌「Nature Geoscience」にArticleとして掲載されました。
深さ660~1000 kmで、沈み込むプレートが滞留したり、深部から上昇してきたプリュームが突然見えなくなったりすることが観測されていますが、その原因はこれまで明らかになっていませんでした。今回決定したポストガーネット転移圧力の温度依存性は、温度とともに負から正へと変化し、他のマントル鉱物にはない特異な性質を持つことが分かりました。この性質は、低温のプレートの進行を妨げ、高温のプリュームの上昇を促進します。これにより、上記のプレート滞留とプリューム不可視化がポストガーネット転移によって起こっている可能性を示しました。
なお本件は、岡山大学と高輝度光科学研究センターの共同研究成果プレスリリースです。
◆石井貴之准教授からのひとこと
今回の結果は、放射光施設で2日間に及ぶ“単調”な長時間実験の中で得ることができました。私を含め、その場にいたグループメンバー全員が「もう寝たい」と思っていたはずですが、温度上昇に伴い低下していた転移圧力が、上昇し始めたことを観測したときは、一気に眠気が覚めて、ワクワクしながらこの不思議な現象をみんなで考察したことが印象に残っています。高圧をキーワードにした研究に興味があります。共同研究も大歓迎です!
◆論文情報
論 文 名:Buoyancy of slabs and plumes enhanced by curved post-garnet phase boundary
掲 載 紙:Nature geoscience
著 者:Takayuki Ishii, Daniel J. Frost, Eun Jeong Kim, Artem Chanyshev, Keisuke Nishida, Biao Wang, Rintaro Ban, Jianing Xu, Jin Liu, Xiaowan Su, Yuji Higo, Yoshinori Tange, Ho-kwang Mao, Tomoo Katsura
D O I:10.1038/s44-w
U R L:https://www.nature.com/articles/s41561-023-01244-w
◆研究資金
本研究は欧州研究会議(研究資金番号:787527)、ドイツ連邦教育科学研究技術省(研究資金番号:05K16WC2)、ドイツ研究振興協会(研究資金番号:IS350/1-1)、中国国家自然科学基金委員会(研究資金番号:U1930401、42150104、92158206)の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
独自開発の高温高圧実験技術により、マントル中部の特異な対流現象を解明~原因はマントルに含まれる鉱物の相転移だった!~
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20230804-1.pdf
◆参 考
・岡山大学惑星物質研究所(IPM)
http://www.misasa.okayama-u.ac.jp/jp/
◆参考情報
・【岡山大学】惑星物質研究所 三朝国際学生インターンシッププログラム(MISIP)を4年ぶりに再開! ~7か国8人の学生が最先端の研究プロジェクトを実施~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001542.000072793.html
◆参考動画
岡山大学惑星物質研究所紹介(YouTube 4:53)
◆本件お問い合わせ先
<研究に関すること>
岡山大学惑星物質研究所 准教授 石井貴之
〒682-0193 鳥取県東伯郡三朝町山田827
TEL:
FAX:
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1124.html
高輝度光科学研究センター 放射光利用研究基盤センター 回折・散乱推進室 主幹研究員 肥後祐司
TEL:(3721)
<SPring-8/SACLAに関すること>
高輝度光科学研究センター 利用推進部 普及情報課
TEL:
FAX:
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):
岡山大学Image Movie (YouTube):
「岡大TV」(YouTube):https://www.youtube.com/channel/UCi4hPHf_jZ1FXqJfsacUqaw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2023年8月 期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001559.000072793.html
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学である岡山大学にご期待ください
・研究グループが独自に開発した高温高圧実験技術により、マントル鉱物ガーネットの高圧相転移圧力の温度依存性が、温度上昇に伴い負から正に変化することを発見しました。
・この正負逆転現象はマントル相転移の常識を覆し、プレートの沈み込みを抑制し、かつプリュームの上昇を促進する2つの役割を担うことを示しています。
・マントル中部で、沈み込んだプレートの滞留やマントル最深部から上昇したプリュームが観測できなくなる原因を説明できることが分かりました。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)惑星物質研究所の石井貴之准教授、ドイツ連邦共和国バイロイト大学バイエルン地球科学研究所の桂智男教授を始めとする研究グループと、高輝度光科学研究センター、中華人民共和国北京高圧科学研究センター、北京大学、東北大学の研究グループからなる国際共同研究チームは、独自に開発した世界最高精度の高温高圧実験技術により、マントル主要鉱物ガーネットのブリッジマナイトへの高圧相転移(ポストガーネット転移)圧力の温度依存性を精密に決定しました。
この研究成果は、2023年7月27日 (現地時間)、英国の地球科学雑誌「Nature Geoscience」にArticleとして掲載されました。
深さ660~1000 kmで、沈み込むプレートが滞留したり、深部から上昇してきたプリュームが突然見えなくなったりすることが観測されていますが、その原因はこれまで明らかになっていませんでした。今回決定したポストガーネット転移圧力の温度依存性は、温度とともに負から正へと変化し、他のマントル鉱物にはない特異な性質を持つことが分かりました。この性質は、低温のプレートの進行を妨げ、高温のプリュームの上昇を促進します。これにより、上記のプレート滞留とプリューム不可視化がポストガーネット転移によって起こっている可能性を示しました。
なお本件は、岡山大学と高輝度光科学研究センターの共同研究成果プレスリリースです。
◆石井貴之准教授からのひとこと
今回の結果は、放射光施設で2日間に及ぶ“単調”な長時間実験の中で得ることができました。私を含め、その場にいたグループメンバー全員が「もう寝たい」と思っていたはずですが、温度上昇に伴い低下していた転移圧力が、上昇し始めたことを観測したときは、一気に眠気が覚めて、ワクワクしながらこの不思議な現象をみんなで考察したことが印象に残っています。高圧をキーワードにした研究に興味があります。共同研究も大歓迎です!
◆論文情報
論 文 名:Buoyancy of slabs and plumes enhanced by curved post-garnet phase boundary
掲 載 紙:Nature geoscience
著 者:Takayuki Ishii, Daniel J. Frost, Eun Jeong Kim, Artem Chanyshev, Keisuke Nishida, Biao Wang, Rintaro Ban, Jianing Xu, Jin Liu, Xiaowan Su, Yuji Higo, Yoshinori Tange, Ho-kwang Mao, Tomoo Katsura
D O I:10.1038/s44-w
U R L:https://www.nature.com/articles/s41561-023-01244-w
◆研究資金
本研究は欧州研究会議(研究資金番号:787527)、ドイツ連邦教育科学研究技術省(研究資金番号:05K16WC2)、ドイツ研究振興協会(研究資金番号:IS350/1-1)、中国国家自然科学基金委員会(研究資金番号:U1930401、42150104、92158206)の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
独自開発の高温高圧実験技術により、マントル中部の特異な対流現象を解明~原因はマントルに含まれる鉱物の相転移だった!~
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20230804-1.pdf
◆参 考
・岡山大学惑星物質研究所(IPM)
http://www.misasa.okayama-u.ac.jp/jp/
◆参考情報
・【岡山大学】惑星物質研究所 三朝国際学生インターンシッププログラム(MISIP)を4年ぶりに再開! ~7か国8人の学生が最先端の研究プロジェクトを実施~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001542.000072793.html
◆参考動画
岡山大学惑星物質研究所紹介(YouTube 4:53)
◆本件お問い合わせ先
<研究に関すること>
岡山大学惑星物質研究所 准教授 石井貴之
〒682-0193 鳥取県東伯郡三朝町山田827
TEL:
FAX:
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1124.html
高輝度光科学研究センター 放射光利用研究基盤センター 回折・散乱推進室 主幹研究員 肥後祐司
TEL:(3721)
<SPring-8/SACLAに関すること>
高輝度光科学研究センター 利用推進部 普及情報課
TEL:
FAX:
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):
岡山大学Image Movie (YouTube):
「岡大TV」(YouTube):https://www.youtube.com/channel/UCi4hPHf_jZ1FXqJfsacUqaw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2023年8月 期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001559.000072793.html
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学である岡山大学にご期待ください