2023/03/13 15:39
教育・研究エンジニア
<発表のポイント>
・食塩に含まれる塩化物イオンが、甘味やうま味の受容体に結合し、糖やアミノ酸などの味物質成分が引き起こすのと同じ作用を示すことを発見しました。
・塩化物イオンは、甘味やうま味の受容体を介して、実際に「おいしい(甘い・うまい)」味として感知されていることがわかりました。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:槇野博史)の大学院医歯薬学総合研究科・薬学部の渥美菜奈子さん、高科百合子さん、伊藤千晶さん(いずれも卒業・修了生)、安井典久准教授、山下敦子教授と東京歯科大学短期大学・安松啓子教授らの研究グループは、食塩を構成する成分の1つである塩化物イオンが、甘味やうま味の受容体に作用して味覚を引き起こすことを発見しました。
これらの研究成果は2023年2月28日 、米国の生命科学誌「eLife」に掲載されました。
味覚においては、糖は甘味受容体、食塩に含まれるナトリウムイオンは塩味受容体で感知され、それぞれ甘味、塩味として認識されます。一方、食塩については、ごく薄い食塩水を甘く感じるという不思議な現象が知られていました。今回の発見は、食塩を構成する塩味成分ナトリウムイオン「じゃない方」の成分で、これまで味覚における役割があまりわかっていなかった塩化物イオンが、甘味受容体で感知されており、この不思議な現象に関わっていた可能性を示すものです。
食塩の摂取は、過剰でも不足でも健康に影響を与えます。本研究成果は、食塩摂取に大きな影響を与える味覚において、食塩がどのように感知されているのかに関する新たな知見をあたえるものです。
◆研究者からひとこと
私たちの口の中で甘味やうま味を感じるセンサーとしてはたらく受容体の解析をしていたところ、本来感知する味物質の近くに、「何か」がくっついているのを見つけたのが、研究のきっかけです。
研究室3期生で、いつも笑顔のスゴ腕実験家・渥美さんが、その正体を塩化物イオンと突き止め、実際の結合を証明しました。その後、この塩化物イオンは、甘味やうま味の受容体に対し、通常の味物質と同じ作用を示すことを、研究センス抜群の7期生・高科さんが見つけたことが、今回の発見につながりました。(山下)
◆論文情報
論 文 名:Chloride ions evoke taste sensations by binding to the extracellular ligand-binding domain of sweet/umami taste receptors
掲 載 紙:eLife
著 者:Nanako Atsumi†, Keiko Yasumatsu†, Yuriko Takashina, Chiaki Ito, Norihisa Yasui, Robert F. Margolskee, Atsuko Yamashita*
D O I:10.7554/eLife.84291
U R L:https://elifesciences.org/articles/84291
◆研究資金
本研究は、日本学術振興会・科学研究費補助金(JP18H04621, JP20H03195, JP20H04778, JP21H05524 , JP20H03855, JP20K02415)、公益財団法人三島海雲記念財団、公益財団法人ソルト・サイエンス研究財団(No.2039)、創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業(No.1264)の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
食塩に含まれる塩化物イオンは、甘味受容体に作用し甘味を引き起こす〜薄い塩水はほんのり甘い〜
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r4/press20230301-1.pdf
◆参 考
・岡山大学薬学部・大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)
https://www.pharm.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)構造生物薬学研究室
https://www.pharm.okayama-u.ac.jp/research/list/6_1/
・東京歯科大学短期大学
https://www.tdc.ac.jp/jc/tabid/378/Default.aspx
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 医歯薬域(薬)教授 山下敦子
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1丁目1番1号 岡山大学津島キャンパス
TEL:
FAX:
https://www.pharm.okayama-u.ac.jp/research/list/6_1/
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):
岡山大学Image Movie (YouTube):
「岡大TV」(YouTube):https://www.youtube.com/channel/UCi4hPHf_jZ1FXqJfsacUqaw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2023年3月 期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001259.000072793.html
岡山大学『THEインパクトランキング2021』総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html
岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています
・食塩に含まれる塩化物イオンが、甘味やうま味の受容体に結合し、糖やアミノ酸などの味物質成分が引き起こすのと同じ作用を示すことを発見しました。
・塩化物イオンは、甘味やうま味の受容体を介して、実際に「おいしい(甘い・うまい)」味として感知されていることがわかりました。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:槇野博史)の大学院医歯薬学総合研究科・薬学部の渥美菜奈子さん、高科百合子さん、伊藤千晶さん(いずれも卒業・修了生)、安井典久准教授、山下敦子教授と東京歯科大学短期大学・安松啓子教授らの研究グループは、食塩を構成する成分の1つである塩化物イオンが、甘味やうま味の受容体に作用して味覚を引き起こすことを発見しました。
これらの研究成果は2023年2月28日 、米国の生命科学誌「eLife」に掲載されました。
味覚においては、糖は甘味受容体、食塩に含まれるナトリウムイオンは塩味受容体で感知され、それぞれ甘味、塩味として認識されます。一方、食塩については、ごく薄い食塩水を甘く感じるという不思議な現象が知られていました。今回の発見は、食塩を構成する塩味成分ナトリウムイオン「じゃない方」の成分で、これまで味覚における役割があまりわかっていなかった塩化物イオンが、甘味受容体で感知されており、この不思議な現象に関わっていた可能性を示すものです。
食塩の摂取は、過剰でも不足でも健康に影響を与えます。本研究成果は、食塩摂取に大きな影響を与える味覚において、食塩がどのように感知されているのかに関する新たな知見をあたえるものです。
◆研究者からひとこと
私たちの口の中で甘味やうま味を感じるセンサーとしてはたらく受容体の解析をしていたところ、本来感知する味物質の近くに、「何か」がくっついているのを見つけたのが、研究のきっかけです。
研究室3期生で、いつも笑顔のスゴ腕実験家・渥美さんが、その正体を塩化物イオンと突き止め、実際の結合を証明しました。その後、この塩化物イオンは、甘味やうま味の受容体に対し、通常の味物質と同じ作用を示すことを、研究センス抜群の7期生・高科さんが見つけたことが、今回の発見につながりました。(山下)
◆論文情報
論 文 名:Chloride ions evoke taste sensations by binding to the extracellular ligand-binding domain of sweet/umami taste receptors
掲 載 紙:eLife
著 者:Nanako Atsumi†, Keiko Yasumatsu†, Yuriko Takashina, Chiaki Ito, Norihisa Yasui, Robert F. Margolskee, Atsuko Yamashita*
D O I:10.7554/eLife.84291
U R L:https://elifesciences.org/articles/84291
◆研究資金
本研究は、日本学術振興会・科学研究費補助金(JP18H04621, JP20H03195, JP20H04778, JP21H05524 , JP20H03855, JP20K02415)、公益財団法人三島海雲記念財団、公益財団法人ソルト・サイエンス研究財団(No.2039)、創薬等支援技術基盤プラットフォーム事業(No.1264)の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
食塩に含まれる塩化物イオンは、甘味受容体に作用し甘味を引き起こす〜薄い塩水はほんのり甘い〜
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r4/press20230301-1.pdf
◆参 考
・岡山大学薬学部・大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)
https://www.pharm.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)構造生物薬学研究室
https://www.pharm.okayama-u.ac.jp/research/list/6_1/
・東京歯科大学短期大学
https://www.tdc.ac.jp/jc/tabid/378/Default.aspx
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 医歯薬域(薬)教授 山下敦子
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1丁目1番1号 岡山大学津島キャンパス
TEL:
FAX:
https://www.pharm.okayama-u.ac.jp/research/list/6_1/
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):
岡山大学Image Movie (YouTube):
「岡大TV」(YouTube):https://www.youtube.com/channel/UCi4hPHf_jZ1FXqJfsacUqaw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2023年3月 期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001259.000072793.html
岡山大学『THEインパクトランキング2021』総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html
岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています