障害者雇用と言うと、法律で決められているので法律遵守やコンプライアンスのためにおこなっている企業が多いのが現状です。

しかし、障害者雇用に成功している企業を見ると、障害者雇用は単にコストや負担になるものではなく、組織にとってもメリットになることが多いということです。

本書では、障害者雇用は手間やコストがかかるものと感じている中小企業の経営者の方に向けて、障害者雇用をおこなうことは、どのようなメリットがあるのか、どのような捉え方をすると、障害者雇用が進めやすくなるのかについて、お伝えしています。

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書籍名:『中小企業の経営者が知っておくべき障害者雇用 ~障害者雇用の捉え方が変われば、「組織は変わる」~』

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著者:障害者雇用ドットコム代表/東京情報大学非常勤講師
   松井 優子

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【障害者雇用の概要】

日本の障害者雇用は、障害者雇用促進法(正式名称:障害者の雇用の促進等に関する法律)によって進められてきました。障害者雇用促進法は、障害者の職業の安定を図ることを目的としている法律で、障害の有無にかかわらずそれぞれの希望や能力に応じて、各地域で自立した生活を送ることができる「共生社会の実現」を目指しています。

これを実現するために、日本の障害者雇用では「障害者雇用は障害者の雇用の促進等に関する法律(以下、障害者雇用促進法)」という法律が設けられています。この中では、特徴的な3つの点として、「雇用率制度」と「障害者雇用納付金制度」、「障害者雇用達成指導」があります。
この法律は、障害者雇用を後押しするものとなっている一方で、多くの企業が障害者雇用をコンプライアンス遵守のために必要なものとして捉えるきっかけとなっています。

【中小企業の障害者雇用】

障害者雇用に取り組む企業が増えてきているものの、中小企業の障害者の雇用状況を見ると、大企業ほど進んでいないのが現状です。

厚生労働省が、毎年発表している障害者雇用の状況の報告からもそれがわかります。

令和2年 障害者雇用状況の集計結果(厚生労働省)を企業規模別にみると、雇用率と法定雇用率を達成している割合は次の通りです。

【企業規模別実雇用率、法定雇用率達成割合】

従業員数、実雇用率、法定雇用率達成割合は、以下の通りです。

・45.5~100人未満、1.74%(前年1.71%)、45.9%(前年は45.5%)
・100~300人未満、1.99%(前年1.97%)、52.4%(前年は52.1%)
・300~500人未満、2.02%(前年1.98%)、44.1%(前年は43.9%)
・500~1,000人未満、2.15% (前年2.11%)、46.7%(前年は43.9%)
・1,000人以上、2.36%(前年は2.31%)、60.0%(前年は54.6%)
(   )内は前年
出典:令和2年 障害者雇用状況の集計結果(厚生労働省)

民間企業全体の実雇用率は2.15%(同2.11%)でしたが、これを見ても、企業規模が小さくなるほど障害者雇用が進んでいないことがわかります。

また、障害者雇用率は上がっているものの、民間企業に義務づけられた障害者の雇用率2.2%を達成できていない企業は全体の半数に上り、障害者を1人も雇っていない企業は30,542社と、その割合は3割ほどとなっています(令和2年の報告時は、障害者雇用率は2.2%、令和3年3月以降障害者雇用率は2.3%)。

最近では、障害者雇用の雇用状況が進んでいないと行政指導がかなり厳しくなっていることから、従業員がある程度いる企業において障害者雇用が全くできていない状況があることは考えにくく、障害者を1人も雇っていない3万社の大部分は中小企業でしょう。取り組んでいるところと取り組んでいないところの差がひろがり、ますます二極化している状況が見られます。


【本の目次】

はじめに

第1章 障害者雇用の現状と法律
なぜ、障害者雇用は増え続けているのか
障害者雇用促進法とは
障害者法定雇用と企業経営


第2章 障害者雇用で組織が得られる7つのメリットとは
障害者雇用率が達成できる
業務プロセスを見直し、効率化が図れる
コスト削減ができる
障害の有無に関係なく働きやすい職場になる
気づきや物事の見方が変化する、視野が広がる
多様性の理解が深まる
組織が活性化する

第3章 特性ある社員を活かせるかどうかは組織力にかかっている

人材が集まらない業種でも、働き方を見直すことで障害者雇用も促進できた
短時間雇用からの障害者雇用、検品の精度をあげることが見えないコスト削減に
組織に必要なことを考えると、障害者の活躍方法が見えてくる

第4章 障害者雇用がうまくいかない理由
障害者雇用の3大悩みとは
業務が切り出せない本当の理由
障害者雇用にも必要なリソースを入れるべき

第5章 今後の障害者雇用と企業の取り組み方
精神障害者を雇用することを恐れない
障害者の労働と経済合理性の考え方
企業の現状にあった障害者雇用を考えよう

おわりに


【お問合せ先】

障害者雇用ドットコム

事業内容:障害者雇用に関するコンサルティング、情報発信等

ホームページ:https://syougaisya-koyou.com/

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