2015/10/15 10:46
エネルギー・素材・繊維
国立大学法人 岐阜大学(所在地:岐阜県岐阜市柳戸 学長:森脇久隆)複合材料研究センター(GCC:Gifu university Composite materials Center センター長:三宅卓志 以下GCC)の守富教授を中心としたグループが世界最高水準の省エネ性と経済性を持つCFRPリサイクル技術「二段階熱処理法」を確立し、カーボンファイバーリサイクル工業株式会社(代表:板津秀人 以下CFRI)と共同して岐阜県に世界最大規模のCFRPリサイクル施設を設置することをご報告いたします。
■CFRPについて
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)は軽さと高い強度を求められる航空機の機体や自動車の車体などで鉄やアルミの代わりとしての利用が増えており、その廃材が問題となっています。
日本でも年間1000トンものCFRPが廃材として生じています。リサイクルの際にCFRPを小さく加工して処理する必要があるため、コストが高くなる上に安全性にも問題がありました。そのため、CFRPはそのほとんどが埋め立てなどで廃棄されているのが現状です。
■高効率でリサイクルが可能な技術:「二段階熱処理法」について
二段階熱処理法は瓦焼きで空気を送りながらゆっくりと焼く「いぶし瓦」の技術を応用したものになります。
第一段階では再生装置にてCFRP中の樹脂分を熱分解ガス化します。第二段階ではガス化できずに残留した炭素分をゆっくり燃焼させます。この二段階の過程を経ることで炭素繊維を傷めることなく回収することが可能となります。
また、この方法により生じたリサイクル炭素繊維の強度は、新品のものと比較し80%程度の強度を保っているというデータが取れています。
■二段階熱処理法 3つの特長
1、既存技術の30分の1の燃料コストを実現
処理の第一段階でCFRPを熱分解ガス化することで発生したガスは、そのまま熱処理の燃料として利用することが可能です。従来のリサイクル手法では処理毎に燃料を用意する必要があり、高コストの原因となっておりましたが、当技術では処理物から燃料を得ることが可能であるため、燃料に関するコストを大幅に抑えることが可能になります。具体的には再生装置の燃料である灯油の消費を約50%減、電気代約70%減という結果が出ており、石油や石炭から同等の炭素繊維をつくる場合の30分の1程度のコストで済むと試算しております。
2、人体への健康被害のリスクを低減
従来の方法はCFRPを処理する際に細かく粉砕する過程がありましたが、当技術では粉砕する過程を必要としません。そのため、空気中に舞った粉塵を吸引してしまうなど、人体への健康被害のリスクを低減します。
3、品質の標準化が可能
当技術では、廃材を粉砕する必要がなく、大きな状態のまま処理することが可能です。そのため、リサイクル処理後に残る炭素繊維も大きく長い形として残るため、強度実験をより正確に行うことができ、リサイクルしたCFRPの品質の標準化が可能となります。
■CFRPリサイクル施設について
この度の施設設置につきましては、岐阜大学からは回収技術の提供、CFRIからは廃材の集積基地及び出荷基地となる施設の確保を行い、両者の協力の元、岐阜県可児郡御嵩町に世界最大規模となる約2,000トン/年の処理施設を設置いたします。この規模は現在の国内全てのCFRP廃材をリサイクルできる処理能力であり,2020年までに「二段階熱処理」の連続運転によるフル稼働を目指します。
施設は約56,000m2を予定しています。
■今後の課題と実用化に向けての展望
炭素繊維の生産シェアは日本が世界市場の7割近くを占めており、再生技術の確立は日本の責務であり、当技術は今後のCFRPリサイクルの核になる技術になると考えております。大学及び施設としては、リサイクル炭素繊維の品質を保証するための規格・標準化,作業環境や健康影響などについて、炭素繊維メーカーやユーザーとの連携を取りながら研究を進めていきます。
実用化に関しては、強度が落ちるもののコストを大幅に低減できる特徴を考慮し、自動車の軽量化部材,トンネルのひび割れなどに対する修繕・補強の素材や高速道路の防音壁など、高い強度を必要とせずに利用できるものに応用できると考えております。コストを下げることで、今までは利用できなかったものに利用できるよう、またヴァージン繊維と組み合わせることなどにより強度向上できるよう、研究・開発を進めていきたいと考えております。
■守富寛教授 プロフィール
1979年に名古屋工業大学大学院工学研究科修士課程修了後、北海道大学にて工学博士取得、工学部附属石炭系資源実験施設助手を経て、1988年から通商産業省工業技術院(現産総研)およびニューサンシャイン推進本部にて石炭液化、ガス化の開発研究および国際協力に従事。1995年から岐阜大学工学部応用化学科の准教授を経て、現在に至る。日本エネルギー学会の進歩賞(1996年2月 )、論文賞(2006年2月 , 2011年2月 )、学会賞(2010年2月 )、第6回高温ガス精製国際会議論文賞(2005年10月 )、 資源循環型ものづくり研究会技術賞(2011年12月 )、日本燃焼学会論文賞(2013年12月 )、廃棄物資源循環学会有効賞(2014年5月 ) 。日本エネルギー学会理事、化学工学会東海支部長を歴任し、現在は国連環境計画の水銀に関する水俣条約専門家会合日本代表を務める。
■大学概要
法人名:国立大学法人 岐阜大学
代表者:学長 森脇久隆
所在地:岐阜県岐阜市柳戸 1-1
URL :http://www.gifu-u.ac.jp/
■会社概要
法人名:カーボンファイバーリサイクル工業株式会社
代表者:代表取締役 板津秀人
所在地:岐阜県美濃加茂市太田町2727-2佐光ビル2階
URL :http://698.jp/cfri/index.html
■本リリースに関するお問い合わせ
■このリリースに関するお問い合わせや取材、資料をご希望の方は下記までご連絡ください■
岐阜大学 PR代行:株式会社CuA united(キュアユナイテッド) 担当:松倉
TEL:
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■CFRPについて
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)は軽さと高い強度を求められる航空機の機体や自動車の車体などで鉄やアルミの代わりとしての利用が増えており、その廃材が問題となっています。
日本でも年間1000トンものCFRPが廃材として生じています。リサイクルの際にCFRPを小さく加工して処理する必要があるため、コストが高くなる上に安全性にも問題がありました。そのため、CFRPはそのほとんどが埋め立てなどで廃棄されているのが現状です。
■高効率でリサイクルが可能な技術:「二段階熱処理法」について
二段階熱処理法は瓦焼きで空気を送りながらゆっくりと焼く「いぶし瓦」の技術を応用したものになります。
第一段階では再生装置にてCFRP中の樹脂分を熱分解ガス化します。第二段階ではガス化できずに残留した炭素分をゆっくり燃焼させます。この二段階の過程を経ることで炭素繊維を傷めることなく回収することが可能となります。
また、この方法により生じたリサイクル炭素繊維の強度は、新品のものと比較し80%程度の強度を保っているというデータが取れています。
■二段階熱処理法 3つの特長
1、既存技術の30分の1の燃料コストを実現
処理の第一段階でCFRPを熱分解ガス化することで発生したガスは、そのまま熱処理の燃料として利用することが可能です。従来のリサイクル手法では処理毎に燃料を用意する必要があり、高コストの原因となっておりましたが、当技術では処理物から燃料を得ることが可能であるため、燃料に関するコストを大幅に抑えることが可能になります。具体的には再生装置の燃料である灯油の消費を約50%減、電気代約70%減という結果が出ており、石油や石炭から同等の炭素繊維をつくる場合の30分の1程度のコストで済むと試算しております。
2、人体への健康被害のリスクを低減
従来の方法はCFRPを処理する際に細かく粉砕する過程がありましたが、当技術では粉砕する過程を必要としません。そのため、空気中に舞った粉塵を吸引してしまうなど、人体への健康被害のリスクを低減します。
3、品質の標準化が可能
当技術では、廃材を粉砕する必要がなく、大きな状態のまま処理することが可能です。そのため、リサイクル処理後に残る炭素繊維も大きく長い形として残るため、強度実験をより正確に行うことができ、リサイクルしたCFRPの品質の標準化が可能となります。
■CFRPリサイクル施設について
この度の施設設置につきましては、岐阜大学からは回収技術の提供、CFRIからは廃材の集積基地及び出荷基地となる施設の確保を行い、両者の協力の元、岐阜県可児郡御嵩町に世界最大規模となる約2,000トン/年の処理施設を設置いたします。この規模は現在の国内全てのCFRP廃材をリサイクルできる処理能力であり,2020年までに「二段階熱処理」の連続運転によるフル稼働を目指します。
施設は約56,000m2を予定しています。
■今後の課題と実用化に向けての展望
炭素繊維の生産シェアは日本が世界市場の7割近くを占めており、再生技術の確立は日本の責務であり、当技術は今後のCFRPリサイクルの核になる技術になると考えております。大学及び施設としては、リサイクル炭素繊維の品質を保証するための規格・標準化,作業環境や健康影響などについて、炭素繊維メーカーやユーザーとの連携を取りながら研究を進めていきます。
実用化に関しては、強度が落ちるもののコストを大幅に低減できる特徴を考慮し、自動車の軽量化部材,トンネルのひび割れなどに対する修繕・補強の素材や高速道路の防音壁など、高い強度を必要とせずに利用できるものに応用できると考えております。コストを下げることで、今までは利用できなかったものに利用できるよう、またヴァージン繊維と組み合わせることなどにより強度向上できるよう、研究・開発を進めていきたいと考えております。
■守富寛教授 プロフィール
1979年に名古屋工業大学大学院工学研究科修士課程修了後、北海道大学にて工学博士取得、工学部附属石炭系資源実験施設助手を経て、1988年から通商産業省工業技術院(現産総研)およびニューサンシャイン推進本部にて石炭液化、ガス化の開発研究および国際協力に従事。1995年から岐阜大学工学部応用化学科の准教授を経て、現在に至る。日本エネルギー学会の進歩賞(1996年2月 )、論文賞(2006年2月 , 2011年2月 )、学会賞(2010年2月 )、第6回高温ガス精製国際会議論文賞(2005年10月 )、 資源循環型ものづくり研究会技術賞(2011年12月 )、日本燃焼学会論文賞(2013年12月 )、廃棄物資源循環学会有効賞(2014年5月 ) 。日本エネルギー学会理事、化学工学会東海支部長を歴任し、現在は国連環境計画の水銀に関する水俣条約専門家会合日本代表を務める。
■大学概要
法人名:国立大学法人 岐阜大学
代表者:学長 森脇久隆
所在地:岐阜県岐阜市柳戸 1-1
URL :http://www.gifu-u.ac.jp/
■会社概要
法人名:カーボンファイバーリサイクル工業株式会社
代表者:代表取締役 板津秀人
所在地:岐阜県美濃加茂市太田町2727-2佐光ビル2階
URL :http://698.jp/cfri/index.html
■本リリースに関するお問い合わせ
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岐阜大学 PR代行:株式会社CuA united(キュアユナイテッド) 担当:松倉
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