プレスリリース
2014年5月  吉日
報道機関各位

現行の柔道整復師療養費受領委任払制度の見直し・改革を目指す“患者と柔整師の会”
「柔道整復施術ガイドライン作成にあたって(第3回全体会議)」3月30日柔道整復師センターで開催
「頸部、肩部、腰部の各部位別の施術方法」について論議

現行の柔道整復師療養費受領委任払制度の見直し・改革を目指す「患者と柔整師の会」(患者代表:今城康夫、柔整師代表:荻原啓二)は、3月30日、東京都中野区の柔道整復師センターにおいて「柔道整復施術ガイドライン作成にあたって(第3回全体会議)」を開催しました。

■柔整師業界団体、学識経験者、保険者、マスコミ関係者など43名が参加■
1月19日  、第1回全体会議を開き「発生機転における急性、亜急性外傷の定義、そして期間としての急性、亜急性、慢性の定義」、2月16日には第2回を開催「鑑別法、経過観察、施術録」などを中心に議論しました。今回第3回全体会議においては、全国の柔整師業界団体、学識経験者、保険者、マスコミ関係者など43名が参加し、「頸部、肩部、腰部の各部位別の施術に関して」議論を展開しました。「総論・共通認識」と「部位別施術方法各論」に分けてフリートーキング形式で活発な議論が展開されました。柔整師業界の中で共通の理解を深めるために今後更に全体会議を重ねて、6月を目途にガイドラインを完成する予定です。

■総論:全体の施術に共通する認識■
「来院患者と初めて対面する時の診方」「開業5年未満の柔整師について」など
荒井座長は「最初に来院の患者さんと対面する時、患者に対してどのような接し方、診方をするか、柔整師の施術全体に共通する項目からご意見を伺いたい」と投げかけました。これに対して下記の通り、多くの意見表明、提案があり、より良いガイドライン作成を目指しました。

■最初に問診、視診、触診行い、その上で総合的に判断して、専門機関に紹介■
『柔整師が施術できないものに「内科疾患」がある。私たちの施術がかえって患者に適切な専門治療の機会を失わせることがあってはならない」
「糖尿病、足の親指が腫れる痛風の症状に対しては、最初に問診、視診、触診を行いその上で総合的に判断して、適時専門機関に紹介する義務、責任がある」
本多最高顧問は『禁止事項として「実行したら有害で患者に負荷をかけ過ぎる」「やっても意味がない」の2種類あり、柔整師の治療としては不適切という基準をつくりたい』と発言しました。これに対して『最初決めるべきは「やってはいけない」こと。無意味なことをだらだら続けることは保険料金、治療費の無駄遣いにもなる』との発言がありました。
「開業5年未満の経験浅い柔整師」に対して厳しい意見、注文がありました。『柔整師の「誤診」の話が出ているが、誤診よりも施術の内容を十分に理解できず、とりあえず施術するという開業年数の浅い柔整師の存在が問題だ。医療過誤を見ると、わからないのにとりあえず施術をしていることがあり、これが一番よくない。その自覚をどのようにして持たせるか、大きな問題だ」

■「施術、治療していておかしいと気づくのはどの辺か」■
「ある程度技術が熟練してくれば初検の時点でわかる場合もある。だらだらと3カ月も、半年も治療を継続するのは良くない」「問診が一番大事。イエス、ノー方式で何が原因かを探っていく。開業4~5年の人には患者に聞くことをチャートでつくってあげるのがいい」
「健康状態を把握するとは、顔色、言葉つき、体温、血圧も聞くのか」と問いかけに対し、『初診時にほとんど必ずやるが、徒手検査に次いで反射は全部診る。血圧も高齢の方は必ず診る。低周波を当てる場合でも、血圧は診ておく必要があり「高いですけど、お薬飲んでいますか」と聞く。すぐ判断する必要があるのは心疾患、脳血管障害かどうか。日本人の「三大死亡」原因でもあるし、血圧と神経学的検査を実施するだけでもリスクは減らせる』と答えました。
「何をもっておかしいと考えるかは、基本的なこと。問診と身体所見の実施が重要。最近は画像診断施設と連携して、画像読影をする柔整師がいるが、問診、視診、触診、運動学的検査、神経学的検査と画像読影に集約される」との意見がありました。

■「柔整師の施術で一番大事なのは手で触って診てくれること」■
「患者として柔整師にお世話になっているのは、手で触って診てくれるからで、これが一番大事。ちゃんと人と人との触れ合いの関係がそこにあることが嬉しい。変形性の股関節症で歩行も困難だったので、病院で手術を勧められたのがもう30年前。以来ずっと手術しないで今まで元気でやってこられたのは、柔整師の先生にかかっていたから」

■「ガイドラインの対象からいわゆる“マッサージ”は外したい」■
「ガイドラインからいわゆるマッサージは外したい。柔整師が行っているマッサージと、慰安行為、疲労回復みたいなマッサージとの違いがわかりにくい。マッサージが悪いと言っているのではない。マッサージはだらしのない治療に結びつきやすい」との考えを表明、意見を求めました。
『マッサージという手技を外すのは現実的には難しい。「柔整マッサージ」という言葉がある通り、柔整師は手技療法の一つとしてマッサージを使っている』
「治療の一つとしてマッサージは治癒効果があるので、それを削除するより、医療過誤とか、医療過誤で診断書を書いたとの話があったが、そちらを重点的に考えたほうがガイドラインとしてはよい。「慰安を目的とした」という言葉を入れたらどうか」

■慰安的なことを中心に行なっている“癒し系整骨院”は潰れていい、との発言も■
「このガイドラインに従って治療をする柔整師はオーケーです。逸脱して、とんでもないことをやっている柔整師は行政の手が入って、なくなってもらえばいいと思う」「不正請求した柔整師を柔整団体が守る必要はない。そういう人は組織から出て一人でやってもらっていい」
本多最高顧問は「団体は守っていません。そういう人たちは自分で勝手にやってしまいどうしようもない。団体に入っている人は指導を受けてやっている。その会をやめてしまう人は団体の指導の枠を外れ、誰も指導しない。そういうレベルの人たちをどうするかが非常に難しいところ」と、どこにも所属しない柔整師をどのように指導するか、問題提起しました。
「柔道整復師が行ういわゆる柔整マッサージないし手技療法、後療法は、損傷組織を回復させて自然治癒力を活性化させるのが一番大きなガイドラインになる。マッサージ師はあくまで損傷部位に特化しない治療」

■各論①頸部に対する施術について■
「頸部でしばしば議論されるところは、肩こり、首の筋」と肩こりについての論議を求めました。
「肩こり、頸部痛、頭痛がひどいと患者が来院した。マッサージはしないで、血圧を測ったところ、190、200の人がいる。そういう方は治療しない。内科で血圧の治療をしてもらって、血圧が下がっても頸部痛があれば必要に応じて施術を行っていく。頸部に関しては血圧が大事である」
「頸部の鑑別診断で見逃してはいけないのはくも膜下出血で、項部硬直という症状が出る。甲状腺が固く大きく腫れた患者が肩こりを訴えてきたが、甲状腺癌だった。触診でわかります」
「絶対に知っておくべきことはガイドラインに入れるのがいい。いわゆるプライマリーケア、総合診療学として基礎的なものをつくって、それは見落とさないようにする方向性がよい」

■「肩こりをどのように診ているのか」■
「肩こりには原因がある。よく問診をして、内科的なものなら内科で血圧が高いことを治療してもらい、その上で治療する。頸部の運動痛、運動制限を診ていくが、絶対見落としてはいけないのは脊髄障害、それと神経根障害でも手術適用レベルになるもの」
「肩こりとして来られた時は問診を注意して実施する。そして内科的でない状態とわかれば触診をする。首の筋を診ると意外と硬直している場合がある。初めの触診が一番大事。どこが一番おかしいかということを診ておかないとうまくいかない」
『ストレートネックなど問題、原因がある肩こりは治療する。肩こりは病名でなく症状。その症状をあらわす原因は何かをまず考える。例えばずっと治らない人は何か原因がある」

■頸部に関しては、無謀な治療が多大な後遺症を残すことが多い■
『当院には開業5年以下の研修生が結構いて、開業時、肩こりの患者には最初は断った方がよいと言っている。原因がよくわからなかったら、鍼に行ってもらうこともある。整形から「血行障害の肩こり」と紹介でくる患者がよくいるが、安易にやると失敗する。整形でわからなかった慢性硬膜下血腫は結構あった』

■各論②肩部に対する施術、特に五十肩について■
「原因がわからず肩が上がらなくなることがあり、石灰の沈着もしていなく、長期にわたっている場合には循環器系に持病をお持ちの方が非常に多い」
「雪かきして肩が上がらなくなった高齢者が病院に行くと、五十肩という言い方をする先生がいまだにいるが、厳密に言うと腱板の炎症もしくは損傷だ。これは五十肩というものには入らない。これは明らかな柔整疾患である」
「五十肩で脈管系の関係ではと言われていたが、原因のない五十肩、肩関節障害は神経障害というのが結構ある。特に副交感神経の緊張が強い場合、脈管系と絡んで痛い。肩関節を幾ら調整しようが、上がらないものは神経障害、脈管系の調整をやると動くようになる。そうすると、五十肩と一括りにしているが、かなり違ってくる」
「五十肩だなと思って診る患者は1年から1年半、長くても2年以内に必ず治る。五十肩は柔道整復ではグレーとして扱われやすいが、200年前から論文も出ている。外傷が誘因したものが今のところ6割で、普通なら治るがこじれてしまうのが40代以上の世代に多い」
「五十肩はほとんどが治っている。私の経験でも、しばらく放っておいたら数ヶ月で治った」
「本当に五十肩なら必ず治るから、我慢できる分はしないといけない。運動療法、はり灸、痛み止めの注射など一番自分が楽になる方法でこの時期を乗り越えてくれと、説明することが多い」
「確かに若い人で何もしなくても五十肩が治る人もいるが、高齢者だと五十肩になった時に整形へ行って注射、湿布薬をもらって、治るからと言われそのまま言うことを聞いて何カ月かたった後に肩が全く上がらなくなるフローズンショルダーになった方は結構いる。だから、そういったことを防止するために柔整の治療を受けて、毎日機能訓練をやって機能障害を起こさないようにすることが大切」
「肩が痛く上がらない、自分は五十肩だと思って来ていた患者で、ほとんどの場合は治療方法があり、治療の効果が期待できるものが多く存在するというのが現実」
「五十肩の治療は治す治療ではなくて、自然に治ってくる経過を診る治療である。その経過の過程の中での痛み、運動制限、悪化とか、防止するという形で理解する。五十肩という名前も症状。いわゆる傷病名ではない。傷病名は「制動性肩関節症」「肩関節周囲炎」。それを前提に踏まえてガイドラインをつくる。原因不明、原因が特定できない、そして可動域が狭くて痛みが激しいものと定義する」と整理しました。

■各論③腰に対する施術について■
荒井座長は「腰の治療に関して、最初にどういう診方をするか」と問いかけ、「ストレスと腰痛の関係、それをどのようにガイドラインに書き込むか」をテーマに論議がなされた。

■施術による部位の破壊、長期の施術で後遺障害発生は「してはいけない」■
「腰部に限らずしてはいけないのは、施術することによって施術した部位を破壊してしまうこと。施術を長く続けることによって、本来もっと早期に病院で適切な治療をしていれば治ったはずのものを、後遺障害として残してしまうことの2点」
「破壊してしまうものの中には、腰部でいえば圧迫骨折を見逃す、転移性脊椎腫瘍を施術部ではなくて病的な骨折を起こしてしまう」「漫然とした治療で炎症性病変、結核性脊椎炎、化膿性椎間板炎になることがあり、抗生物質の治療、入院が必要になる。場合によっては手術も必要。そのままにしておくと、脊椎が壊れる、形態が変化する、神経障害が残るなどの問題が出てくる」

■腰痛は精神的なものも多い。ガイドラインにも入れてほしい■
荒井座長は「ヘルニア、脊柱管狭窄症という方が多い」ことについて意見を求めました
「ヘルニア、脊柱管狭窄症が手技を行うことによって治るとは思っていない。ヘルニア、狭窄症というのは、本当にそれが原因で出ているものに関しては柔整の治療は違うと考えている」
「腰痛は精神的なものも多い。鬱の人は腰痛を訴え、首が痛いとも言う。「腰が痛い」に精神的なものが関わっている場合もあると入れてほしい」
「ストレス性の腰痛はなかなか捉えにくい。ガイドライン化していくと非常に捉えにくい。ストレスのない社会はない。それをどう捉えていくかというのが大事」と意見を求めました。
「ストレス性の腰痛の場合、後頭部が非常に痛む人と、前頭部、前頭前野が非常に緊張して盛り上がっている人が、鬱とか精神的なものから来て腰が痛いと訴える場合が多い。その場合、前頭葉の興奮を静めてあげると、腰を何も触らなくても腰痛がとれるという場合が多い。私はその辺を目安にして、頭を触ってみればわかると考える」
「一般的に柔整師は外傷を扱う職業なので、精神的な腰痛のガイドラインは書かないほうがよい」
「ストレスによる腰痛をガイドラインから外すべきと意見があったが、それに対してどうか」
「ストレスが腰痛に影響を及ぼす。ヘルニアは特に影響を及ぼすが、それも解剖生理的な理由もある。ただストレスをどう扱うのか、ストレスだけが原因で腰痛というのがよくわからない」
「腰痛にもストレスが関係して、さらに回復を悪化させていることは、ケースとして幾らでもあるのではないか。ただ、もしストレスだけが原因で腰痛になっている人がいたら柔整の範囲外。それ以外の原因でなっている人を治療していく上で、ストレスが症状を悪化、遷延させる恐れがある。それにも注意をする必要があるという表記でいいのではないか」

【患者と柔整師の会のプロフィール】
超高齢化時代の到来を目前に控え、多くの患者は柔道整復診療で痛み、機能障害などから解放されたいと切に希望しています。複数の重大問題が包含される現行の柔道整復師療養費受領委任払制度を抜本的に見直すことを目的に、平成22年2月、全国の柔道整復師と患者の有志が中心となり設立されました。現在、会員数は約7,200人に達しました。以来約4年間、保険者、柔整師、患者の意見を数多く聴取して、改革案を3回にわたり作成、関係者に説明の努力を重ねました。平成25年6月6日  総括会議を開催しこれまでの議論、審議を通じて作成した改善方策案を発表しました。同8月30日  、「登録柔道整復師制度及び柔整療養審査・支払機構」について保険者向け説明会を開催、6月発表の「制度運用改善方策案」に加えて、「急性期経過外傷用施術内容情報提供書」など3案を提案しました。同時に「柔道整復施術ガイドライン」を作成することになり、1月19日  に第1回、2月16日  に第2回、3月30日  に第3回全体会議を開催しました。
■設立 平成22年2月
■事務局 〒108-0074 東京都港区高輪2-16-49 カムロ高輪ビル2F 
■TEL&FAX     
■URL http://k-jsoudan.org/  
■E-mail   
■会員数 約7,200人    
■代表 患者代表 今城康夫/ 柔整師代表 荻原啓二
【社団JB日本接骨師会のプロフィール】
■本部:〒164-0013 東京都中野区弥生町1-13-7
■会長:五十嵐 仁
■設立:昭和57年2月11日
■TEL:       
■ FAX:
■ URL:http://www.pb-jb.org/  
■ E-mail:
【内容、取材に関するお問い合わせは下記までお願いします】
社団JB日本接骨師会 担当:澤田・前田
〒164-0013 東京都中野区弥生町1-13-7
TEL 03(5388)7211 FAX 03(5388)7231
E-mail :

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