3月30日、和光市で第3回伊福部昭音楽祭「生誕百年!吹奏楽による伊福部昭」開催!福田滋の指揮によるゴジラ、キングギドラ、大阪万博音楽など演奏!和田薫の新曲が記念吹奏楽団で初演!


■国際的評価はデビューとともに
映画「ゴジラ」を代表とする数々の映画音楽を作曲したことで世界に知られる…。そう形容されることの多い伊福部昭だが、まったくの独学で21歳のとき書き上げた「日本狂詩曲」は1935年にフランスで行われたチェレプニン賞で1位となり、国際的評価を得て、当時の新聞でも話題となった。この曲は、ポーランドやフィンランドでも演奏され、まだ健在であったシベリウスもラジオで聴いて賞賛したという。伊福部昭の強烈な個性はデビュー時から際立っていた。世界で評価されてから、80年近い年月が経ち、今年が生誕100年となる。

■ダイナミックなオーケストラサウンドとオスティナートの魅力
「日本」という枠に収まることのないスケールの大きな音楽は、1914年北海道に生まれ、幼年時代にアイヌの人々と交流して、自己を形成していったことも影響している。その音楽の魅力は、日本、アジアを基礎としつつも、その先にある人間の根源を呼び覚ます力強いリズム、ダイナミックなサウンド、徹底的なオスティナート(繰り返し)の美学…。聴くものに現代人が忘れていった大切な心を取り戻させるような効果もある。

 ストラヴィンスキーやラヴェルとも共通する魅力的な音楽は、後進の作曲家にも大きな影響を与えており、芥川也寸志、黛敏郎、松村禎三、三木稔、石井眞木、今井重幸らの古弟子を筆頭として日本の音楽界にとどまらず広がっている。弟子のなかでは、ゴジラ音楽を担当した眞鍋理一郎もいる。そして、直接の弟子だけでなく、オーケストラ音楽を書こうとする作曲家ならだれもが読む『管絃楽法』の著者としても音楽界に大きな影響を与えており、かの三善晃も自分の弟子に伊福部昭の『管絃楽法』を読むよう教えていたという。

○伊福部昭の魅力を多角的に探るコンサート
北海道で孤高の存在として活躍した伊福部であるが、戦後は関東へ移り、「ゴジラ」だけでなく数々の特撮映画や黒澤映画の音楽も担当して日本映画の黄金期を支え、知名度も高まり、コンサート用の作品も、育てた弟子も増えていった。今回の生誕百年音楽祭は、そのような伊福部昭の様々な側面に光を当てる好企画である。伊福部が東京音大で育てた愛弟子たちの曲が聴けるのも嬉しい。この度、「伊福部昭へ捧げる讃」を書いた三人の弟子の名前と作品タイトルは下記の通り。

1.永瀬博彦 リズミックプレリュード - 祝賀会前奏曲 -
2.藤田崇文 伊福部昭のモティーフによる北の舞
3.和田薫  伊福部BOLERO

 この順番で、それぞれを作曲者が指揮も担当して初演される。まさに必見!

 その他の曲の演奏は「SF交響ファンタジー」の吹奏楽編曲などで、伊福部ルネッサンスの一翼を担った福田滋の指揮による伊福部昭記念ウインドオーケストラ。2年に1度の開催となる日本の作曲家ファンへのスペシャルコンサート「奏楽堂の響き」で知られるリベラ・ウインドシンフォニーを母体とした記念ウインドオーケストラによってゆかりの楽曲が上演される。

 なお、新曲の前には、伊福部昭の古弟子として様々に尽力し、今年1月に逝去した今井重幸の交響組曲「神々の履歴書」(1988)より、古代日本とそこに渡来する人々の未来への希望を音楽にした「渡来のうた」の追悼演奏もある(清道洋一 編曲)。これは生前に今井が「次世代に伝えたい」と願っていた発言による。それに続いての「伊福部昭へ捧げる讃」となる。

■注目作の吹奏楽初演も
他に演奏されるものも編曲初演が多く注目作ばかりである。EXPO'70「三菱未来館」より「嵐」「火山」は大阪万博におけるパビリオン「日本の自然」で使われた音楽の編曲初演。子供だけでなく大人も我を忘れて引き込まれる伊福部サウンドの魅力が人気となり、映画「地球攻撃命令ゴジラ対ガイガン」でも使われたもの。交響ファンタジー「ゴジラVSキングギドラ」よりは映画「ゴジラVSキングギドラ」から編まれたコンサート用作品で、ドルビーサラウンドを意識した色彩豊かなオーケストレーションと重低音が聴きものである(2月1日  の伊福部昭百年紀でも演奏されたが、あまりの迫力に椅子から転げ落ちた客も居たという)。
いずれも編曲は伊福部昭の東京音大での最後の弟子とされる堀井友徳による。堀井は「奏楽堂の響き」シリーズでも黛敏郎作品の編曲などで巧みな手腕を披露しており、今回の初演が楽しみである。

 また、伊福部昭の唯一のマリンバ協奏曲として知られる「ラウダ・コンチェルタータ」も1986年に和田薫によって吹奏楽編曲された版へ再度手を入れた改訂版の初演となる。1986年のミシガンでの初演は上演先を考慮して打楽器セクションを増強しての編曲であった。しかし、今回は伊福部昭のオリジナル譜に忠実な改訂を施したバージョンとなる。マリンバソロは、東京藝大で打楽器を学び、現代音楽からポップスまで幅広く活躍する若手の篠田浩美。鼓や太鼓など日本の打楽器も専門的に学び、和洋の打楽器を知る奏者のラウダに期待したい。

 これらの豊富な内容を持つ伊福部昭百年祭は、3月30日  の吹奏楽コンサートだけでなく、4月からは伊福部が音楽を担当した映画の上映も予定されいる。ファンは和光市に通うことになりそうだ。そして、日本が世界に誇る巨匠・伊福部昭の生誕百年を大いに祝おう。(西耕一)

■伊福部昭生誕百年音楽祭 吹奏楽コンサート

【日時】3月30日(日)15:00開演
【会場】和光市民文化センター“サンアゼリア”大ホール
【演奏】伊福部昭記念ウインド・オーケストラ
【料金】全席自由 1,000円(当日1,200円)中学生以下無料

【プログラム】
○ゴジラ・ファンタジー(和田薫編曲)
○神々の履歴書より(今井重幸/清道洋一)

 《三人の門弟作品》
○「リズミック・プレリュード~祝賀会前奏曲」永瀬博彦
○「伊福部昭モティーフによる北の舞」藤田崇文
○「伊福部Bolero」和田薫

○エキスポ70 三菱未来館より“火山”“嵐”(堀井友徳編曲)
○マリンバとウインド・アンサンブルのための「ラウダ・コンチェルタータ」
マリンバ 独奏:篠田浩美
○交響ファンタジー「ゴジラVSキングギドラ」より(堀井友徳編曲)

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